第2回全国研究集会報告書-014/60page

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第1部会

1)研究発表概要

子供の学び方に関する研究

―子供の独自性に関する考察―

束京都立教育研究所 主任指導主事 白石裕一

1.研究の趣旨

 本研究は,小学校低学年の子供の授業の観察を通して,子供の「ものごとを見る目・ものごとを感ずる心・ものごとを追求する手法」等についての事実を収集・分析し,子供の学び方・生き方の独自性に関する実態を明らかにするとともに,子供主体の学校生活を確立するための条件を探ることを目標としたものである。

2.研究の内容

 小学校1・2学年の子供を対象にして,以下の事項について考察した。

(1)一人一人の子供が課題を追求していく過程や手法の独自性・違いについての事実を収集・分析する。

(2)課題追求の過程における教師と子供・子供同士のかかわり合いの実態と,そのかかわり合いにおける子供の独自性・違いについての事実を収集・分析する。

(3)上記(1)(2)に関する事実の分析を通して,子供主体の学校生活を確立する条件について考察する。

3.結果と考察

 本研究の底流には,「一人一人の子供のもつ可能性・自己変革・望ましい成長」「子供はそれぞれに独自の個性・能力をもち,独立した人格を有する」という都立教育研究所のプロジェクト研究の先行知見がある。研究はこの基本的認識のもとに,子供一人一人の成長の過程に関心をはらい,望ましい援助の手掛りを得ようとしたものである。

 取り上げた10の事例から,1)観察学習における観察力の違いや独自性,2)話し合い学習における子供の言葉の自己編集力の違い,3)石遊びに見られる学習意欲の高まり,4)描画の学習における教師と子供のかかわり合い,5)話し合い活動における発言の問題を中心になど,子供たちの授業の中の独自な姿についてまとめることができた。

4.まとめ

 授業の中の子供たちの姿は一様ではなく,それぞれに独自な姿を示している。同じ時間に,同じ教材を使い,同じように教えられても,子供たちの理解の仕方・程度は違ってくる。ここに,「集団で学んでいても,学習は一人一人の子供によって成り立つ」という教育の原則を改めて認識することができた。この原則に立って教育を進めようとするとき,学校は一人一人の子供のもつ独自性に対して,応答的な環境となっているかどうかの検討が必要となる。


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