第2回全国研究集会報告書-035/60page
く再登校のための信頼関係が図りにくい。発達期との関連での調査もさらに必要である。
(2)「個性を生かし,個が生きる教育指導の在り方に関する研究」
宮城県教育センター 指導主事 川島克
○発表の要旨
「個を生かす教育指導」の実態と意識調査を県内の小学校・中学校及び特殊教育諸学校を対象に実施し,「人間総体」としての個とは何か,「個を生かす教育指導」はどうあらねばならないかについて研究し,2年次の授業実践のための基礎理論の構築と,研究の方向付けをした。
○<質疑より>
「個別化」の実践を踏まえて,「個性化」の実践研究を進める必要がある。「アンケート」の内容方法は,ともすれば類型化しがちであるが,教育現場の声や意識は確実に反映されており,謙虚に生かしていきたい。また集団活動と個性の調和については,今後,研究を深めたい。
(3)「個を生かす学級集団形成過程の研究」
―子どもの自己像をどう再生させるか―
東京都立教育研究所 主任指導主事 井上裕吉
○発表の要旨
学級集団への不適応児童・生徒の行動特性と不安定な「自己像」のとらえかたと,それに対する指導の方法を中心に,学級担任の子どもたちへのかかわり方と人間関係の追跡的調査によって個を生かすためのより望ましい学級集団の形成過程を究明しようとした。
○<質疑より>
子どもの立場に立って「自己像の回復」を図り,また子どもから子どもへの言語活動の分析を通して集団と子どもとのかかわり方の研究を深めたい。また親(特に母親)の「自己像」を考えていくことも必要である。また,男子生徒の適応を考えた学級経営の工夫も大切となろう。
(4)「個を生かす道徳指導の在り方」
秋田県教育センター 主任指導主事 野呂田交平
○発表の要旨
学校生活の様子を観察し,問題場面の一般化をして,あらかじめ用意した問題性のある内容によって「あなたならどうしますか」という設問をし,児童・生徒の道徳性をうかがい知ろうとした。その子特有の道徳性は,性格や生活背景に影響されている。
○<質疑より>
正しい道徳性を培うために,どの子のどんな点をさらに伸ばし,どんな点を矯正して望ましい生き方にいざなうかを考えての指導案の工夫とその検証を進めている。
(5)「生き生きと学びつづける子ども」―指導の個別化と学習の個性化をめざして―
山形県寒河江市教育研究所(寒河江小学校) 教頭 寒河江明雄
○発表の要旨
第3学年,総合的学習「クローズアップ寒河江」によって自分たちの町の四季の変化や人々の生活,産業等に興味・関心を持たせ,自然や建物等を探険して調査し,それをどう伝えたらよいかを考えさせる学習を進めた。子どもの個人差を把握し,一人ひとりの興味・関心,適性を生かして,学習のねらいを確実に達成させ,伸ばすための指導の個別化・学習の個性化の研