すぐに使える 実践事例集 平成13年10月-061/114page
高等学校理科(化学)
油脂の簡易抽出器の製作と活用
1 はじめに
「有機化合物」の学習では,油脂の構造やけん化反応などについて実験を通して学習しますが,実際に油脂を抽出する実験はあまり行われていません。食品などに含まれる油脂を自分で抽出して実験に用いれば,生徒にとって化学の学習がより身近なものに感じられると思います。
ここでは,油脂の簡易抽出器,簡易蒸留器の製作とそれらを活用した油脂に関する実験について紹介します。
2 簡易抽出器の製作
油脂を抽出する場合には,ソックスレー抽出器(図1)がよく用いられますが,比較的高価であるため班の数だけそろえることは難しいのが現状です。
また抽出溶媒としては,沸点が低く引火しやすいジエチルエーテルなどが用いられるため,冷却効率の良い冷却器が必要になります。そこで,安価で冷却効率の良い冷却器を備えた簡易抽出器を製作しました。
これは,冷却部に500mlぺットボトル,抽出する試料挿入部にフィルムケース,抽出溶媒の容器に遠心沈殿管を用いたもので,エーテルの使用量もわずかで済みます。(図2)
図1
図2(1)準備物
・ガラス管(直径8mm,長さ25p)
・ペットボトル(500ml)※1
・銅線(太さ1mm,長さa15p,b25p,c3.5p2本)
・ゴム栓(5,8,15)
・ステンレス線(太さ1mm,長さ3p2本)
・遠心沈殿管(直径4.5p,長さ12p)
・フィルムケース※2
・ろ紙(2)
・工具類(ペンチ,コルクボーラー,ガスバーナー等)※1 角型,丸型のどちらでもよい。
※2 中に入れるろ紙の折り方をかえれば,APSタイプのものでもよい。