すぐに使える 実践事例集 平成13年10月-063/114page
4 油脂の抽出
(1)準備物
製作した抽出器と蒸留器,ビーカー(200ml),お湯,温度計,沸騰石,乳鉢,ジエチルエーテル,油脂を含む試料,電子天秤,アスピレーター
(2)実 験
@ 遠心沈殿管の質量をはかる。
A 試料挿入部のろ紙の上に,油脂を含む試料を2g入れ,図3のゴム栓(15)部分のステンレス線に引っ掛ける。
B 遠心沈殿管に,ジエチルエーテル15mlと沸騰石を入れ,装置を組み立てる。
C 冷却部に氷水を入れ,ビーカーに入れた60℃程度のお湯に遠心沈殿管の底を少しつけ,溶媒を還流させる。還流は20分程度行う。流が激しすぎる場合には,遠心沈殿管の底 をお湯から離す。また,ビーカーの中のお湯の温度が冷えて還流が起こらなくなった場合には,お湯を入れ替える。
D お湯の入ったビーカーを取り除き,遠心沈殿管を冷水につけて冷却する。
E 遠心沈殿管から冷却部等を取り外し,かわりに簡易蒸留器のゴム栓を取り付けてアスピレーターにつなぎ,減圧して溶媒を除く。
F 十分にエチルエーテルを取り除いた後,遠心沈殿管の質量をはかり,抽出された油脂の質量を求める。
5 抽出した油脂についての実験
抽出した油脂を用いると,次のような実験ができます。
(1)抽出した油脂の香りや手触りの確認
油脂を取り出して香りをかいだり,手につけて油であることを確認したりする。
(2)抽出前後の試料のようすの比較
抽出前と抽出後の試料について,手で触れたときの違いを比較する。
(3)抽出した油脂の炭素-炭素不飽和結合の存在確認
少量の油脂をヘキサンなどに溶かして臭素水を加え,臭素の色の変化から不飽和結合の有無を推定する。
(4)抽出した油脂を用いたせっけんの合成
水酸化ナトリウム水溶液などを加えて加熱し,油脂のけん化を行う。