『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-012/142page
〈資料6「GPAl」説明用資料〉
「GPAI」とは?
「Game Performance Assessment Instrument(ゲーム・パフォーマンス・アセスメン卜・インストゥルメン卜)」の略で,アメリカのグリフィンらによって開発された評価方法です。ゲームに必要な力である「動きの決め方」,「ボールの操作」,「ボールを持たないときの動き方」などについてプレーを観察し,評価します。
観察者は,プレーヤーのパフォーマンスが「よくできたか」「そうでなかったか」を判断し,その回数を記録します。今回は,よくできた時には「○」を,そうでなかったときには「×」を記録していきます。その結果から,次のようなことが分かります。
○ 「動きの決め方」で○があった人は,自分の特徴を理解してプレーを決めることができている人。 また,状況を判断してプレーできている人ということになります。
「○が少なかったり,×が多かった人は,スキルテストから自分の特徴をつかんでみましょう。方や相手の位置や動きを注意して見てみるのもよいでしょう。」 ○ 「ボールの操作」に○が多く付いた人は,ボール操作が上手な人です。○と×の合計が多ければ,ボールに多く触れたことが分かります。
「×が多い人は,正確性を高める練習をするとよいでしょう。○も×も少ない人は,積極的にボールを取りに行くか,パスが回って来そうな場所に動いてみましょう。」 ○ 「ボールを持たない時の動き」で○の数が多い人は,ディフェンスをがんばったり,味方がパスを出しやすい位置に進んで動いたりすることができた人です。実は,この動きが,役割分担や作戦にはとても重要なのです。
「×が多かった人は,味方や相手の位置や状況に応じた動きの練習をがんばりましょう。」
資料7は,使用した「GPAI」の3つの観点と,それを判断するために設定した具体的な基準です。
「動きの決め方」をプレーの観察から判断することは,他の観点の評価活動より難しいと思われます。「ボール操作」と「ボールを持たない時の動き」の2つの観点から始めるなど,児童の実態や経験の有無によって工夫するとよいでしょう。〈資料7「GPAI」の観点とその判断基準〉
バスケットボール・GPAI 1 動きの決め方(行った動作は失敗してもよい。)
・ ノーマーク(すぐ近くに相手チームの人がいない)の味方にパスをした。
・ 相手チームの人がいない(少ない)方向にドリブルをした。
・ リングに入りそうな位置から,じゃまされることなくシュー卜した。2 ボールの操作
・ シュー卜…ゴールリングに入った。ゴールリングに触れた。
・ パス(投げる)…チームメイ卜の手が届くところに投げた。
・ パス(受ける)…手が届く範囲のボールを捕った。
・ ドリブル…ミスせず,相手に取られないようにドリブルした。
・ リバウンド…落ちてくるボールをジャンプして(高い位置で)捕った。
3 ボールを持たない時の動き方
(1)攻めている時(味方がボールを持っているとき)
・ 相手チームの人の位置を考えて,パスが受けやすい場所に移動した。
(2)守っている時(相手チームがボールを持っているとき)
・ 相手チームの人の動きに応じて体を動かしたり移動したりして,攻めにくくした。