『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-083/142page
小学校・中学校・高等学校 理科・環境
酸性雨と土とのかかわりを考える教材
坂 爪 靖 夫
1 はじめに
土には,様々なイオンや有機物が含まれており,酸やアルカリを加えた場合にそれらの影響を和らげる効果があり,土の緩衝作用と呼ばれています。
酸に対する土の緩衝作用について,実験を通して理解すれば,酸性雨と土の性質とを関連付けて考え,身の回りの環境への関心を高めることにつながります。
土の緩衝作用は,酸性雨に見立てた酸性の水溶液を用いて,この水溶液に土を加えた場合と土を加えない場合のpHを比較することで,簡単に調べることができます。
ここでは,土の緩衝作用の調べ方について紹介します。
2 実験のために必要なもの
(1) pHメーター
○ pHメーターには,電極がガラスのものと,半導体のものがあります。
○ pHメーターの取り扱い方は,機種により異なるので,添付のマニュアルをよく確認する必要があります。いずれの場合にも,測定の前に,pHメーターに付属している校正液を用いて調整します。
写真(上):電極が半導体のもの
(下):電極がガラスのもの
価格:1〜2万円程度
測定範囲:pH2.0〜12.0程度
精度:pH±0.2程度(2) 酸の水溶液
○ 酸の水溶液のpHは,水溶液中の水素イオン濃度で決まります。この実験では,水素イオン濃度が0.05mol/gの塩酸や硝酸などを用います。
水素イオン濃度が0.05mol/gの酸の水溶液
塩酸・硝酸 市販の濃度0.05mol/g水溶液
または,1mol/g水溶液を20倍に薄めたもの硫 酸 市販の濃度0.025mol/g水溶液
または,0.5mol/g水溶液を20倍に薄めたもの