『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-085/142page
【実験上の留意点】
水に溶けているイオンの量が少ないと,pHメーターの数値は安定しないことがあります。pHがなかなか安定しない場合には,10秒間pHが変化しなかったときの数値を,そのときのpHとして実験を進めます。
(3) 土の違いによる緩衝作用の程度
実験結果をグラフ化して,土の違いによる緩衝作用の程度を比較してみます。
下のグラフは,塩酸を12滴加えた後から3日後までpHを測定した結果です。このグラフを見ると,次のようなことがわかります。○ 酸を加えていくと,砂では,蒸留水と同様なpHの変化を示す。しかし,12滴加えた後では,1日後,2日後,3日後になるにしたがって少しずつpHが大きくなる。
○ 黒土・赤玉土・鹿沼土,花壇の土では,砂に比べ,pHはあまり小さくならない。しかし,12滴加えた後では,1日後,2日後,3日後になるにしたがって少しずつpHが大きくなり,酸を加える前のpHに近い値になる。これは,土と酸の水溶液との間で,炭酸塩による緩衝,陽イオンの交換による緩衝などが起こり,溶液中の水素イオン濃度が低下するためです。