『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-129/142page
教育相談の考え方を活かす授業 生活科
『人間関係をつくる力』を育てる授業
〜指導援助プログラムの活用を通して〜 渡 部 修 一
「人間関係をつくる力」を高める指導援助プログラム
不登校やいじめなど,様々な問題が起きている今,対人関係の希薄さが叫ばれています。その背景には,「友達とどう接したらいいのか分からない」「思っていることをうまく伝えられない」「自分の考えに自信が持てない」などといった声に象徴されるように,人間関係を築くことができずに悩む子供たちの姿が見えてきます。かつては,人間関係をつくるカは,学校生活や遊びの中で,または家庭や地域の日常生活の中で自然に身に付けていくものでした。しかし,今の子供たちはその力を十分身に付けているとは言えない状況です。
そのような状況である今こそ,学校生活の中で,「人間関係をつくる力」を意図的・計画的・系統的に育てる働きかけをしていくことがとても重要になってきます。特に中学生においては,自立しようとする過程で仲間を切実に求める一方,自分を他者と比較したり,他者との関係に敏感になったりするなど思春期特有の「心の動き」が見られます。だからこそ,「自分や友達を温かく見つめて支え合うことや,互いにうまく自分の気持ちを伝え合うこと」(=「自己肯定感」と「人とかかわる技能」)への援助が必要になってきます。
そこで,下記のような「指導援助プログラム」を作成し,各授業や短学活,日常生活などの中で実践して支援を進めました。