『生きる力』を育てる指導と評価の 実践事例集 平成14年9月-137/142page

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中学校
特別活動
 

好ましい人間関係づくりを目指す学級経営に関する実践

〜班ノートの活用を通して〜
赤 津  雅 彦

    

1 中学生の現状と課題

 中学校生活は小学校での生活と異なり,教師と生徒及び生徒相互の人間関係も多様になり,学習面でも新しい教科や選択学習が拡大するなど,生活環境や学習環境が大きく変化してきます。また,自我の目覚めや思春期を迎えての新たな発達上の課題にも直面するようになります。このような変化の中で,新しい学校生活や学級生活に慣れ,好ましい人間関係を主体的に形成していくことが大切になります。

 学級は,学校における生徒の様々な活動の基盤としての役割を果たす場であり,生徒相互の好ましい人間関係や教師と生徒との信頼関係に満ちたものでなければなりません。中学生という発達段階では,他者を意識するあまり言動が遠慮がちになり,集団の中で一人一人のよさを出し合えないことが多く,また,自分自身を成長させたいと思いながらも,うまくコミュニケーションがとれず,表面的な人間関係を保つことに終始してしまう傾向が見られます。

 ある中学校の3年生1クラスの協力のもと,「学級づくりに関するアンケート調査」を実施したところ,右のグラフのような結果を得ました。8割以上の生徒が「友達と一緒にいるのが楽しい」(グラフ1)と感じているにもかかわらず,学級全体での活動への意欲がやや低い(グラフ2)ことがうかがえます。交友関係が一部の友人に限られており,学級全体としての一体感が育っていないことが感じられます。

一方,「どのような学級にしたいですか」という質問項目に対しては,「まとまりのある学級」「仲の良い学級」「明るく楽しい学級」「信頼できる学級」などが多くあげられ,「学級として団結したい」という生徒の願いを見取ることができました。このクラスの場合,担任は転勤してすぐに受け持った3年生であったため,特に生徒一人一人の性格や人間関係を理解することが急務であり,生徒との相互理解を深めながら諸活動に取り組んでいきたいと考え,班ノートに取り組むことにしました。

 班ノー卜は,担任と生徒個々で交換する個人ノー卜と異なり,書かれている内容を学級全体で共有することができるため,その活用の仕方により学級の人間関係づくりで大きな成果を得ることが期待できます。そこで,学級の好ましい人間関係を醸成するための班ノートの活用法や活用事例について,実践を通して考察したいと思います。

【学級づくりに関するアンケー卜調査】
学級づくりに関するアンケー卜調査
学級づくりに関するアンケー卜調査
学級づくりに関するアンケー卜調査

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