研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 028/047page
(5) 授業の検証
@ 学習の評価
学級単位の授業に合併授業を取り入れることにより、学習の系統化が深められるとともに、学年としての自己調整が可能なので、担任として安定感がもてるようになる。子どもは意欲を高め、積極的で活発なものが多くなる。
ダンスの学習では、ふん囲気や場の構成にくふうができるなどで、授業に満足感がもて、子どももせいいっぱいの動きをしたようである。
器械運動(マット)の前まわりは、程度(能力)別グループ取り扱いとし、めあてをきめての学習なので、他人の演技もよくみるようになり、向上をはやめているようである。なお、等質的なグループなので、援助もしやすく、子どもはのびのびと学習したようである。到達度は教授過程の「反応・評価」らんのとおりである。A 集団の再編成
ダンスは、研究途上ではクラス単位に練習した方がよいのでないかとの意見もあったが、ピアノ伴奏などを取り入れて、表現内容を深めるためには、合併授業が効果的であることが実証された。グループ(小集団)の構成人員についても、8人は多いのでないかと思われたが、変化をつけることが容易であり、かえって表現活動を深められたと思われる。
1年生からの程度別編成は、学習意欲の面からも問題があるのでないかと心配されたが、Aグループは、さらにきそいあうようになり、Cグループも明るく意欲的な学習であった。このことから教材内容によっては、程度別集団学習も必要であると思われる。
B 教師の役割分担
主となる役割、協力的な役割で分業・協業し、ともに主体性をもつことに努めているが、その実践をとおして充足感をもてたことは、役割・分担が適切であり、効率的であったと思われる。
このような教育活動をとおして、教材研究が深まり、かつ教職としての人間関係を改めて感じさせられている。
C 児童の反省
ダンス
ア 自分たちのグループで話し合ってまとめ、ダンスができたので楽しかった。
イ ほかのグループのよいところをまねたところもあったが、よくできてうれしかった。
ウ 絵をみたり、家でも考えたりしていたので、はりきってやった。うれしかった。
エ みんなの前なので、きんちょうしたが、よくできてうれしかった。器械運動
ア グループに分けてやった方がはずかしくない。はやく上のグループになりたい。
イ みんながどんどんうまくなるので、ゆだんをしてはいられないと思った。
ウ もっとうまくなって、いろいろなまわりかたをやってみたい。
エ 頭のつけかたがむづかしかった。以上が多くの子どもの反省であり、意欲的なことが多く、効果的であったと思われる。
15 中学年体育の検証
(1) 研究のねらい
「体育における程度別の集団の再編成と教師の役割・分担」
中学年においては、6つの領域をとおして、いろいろな動きを体験させ、さまざまな動きから調整力をつけるとともに、筋力を養うことをねらいとしている。そのためには、より広い集団で自己調整をはかりながら、程度(能力)差に応じた集団での学習を加味すれば、ひとりひとりの学習効果が高まるであろう。
そのための研究のねらいを具体的にあげると次のようになる。
ア 2学級を合併し、その集団における教授過程で、程度(能力)差による、3小集団の取り扱いの結果から、集団再編成の視点を確かめる。
イ 程度別内容の位置づけと、その確かめから内容構成・役割・分担のあり方をとらえる。