研究紀要第2号 教授組織に関する研究 実践集 - 040/047page
(5) 授業の検証
@ 学習の評価
第1次では、正面とびのような動作で横木を自由にとび越すことで事前調査の確めをしたが、児童の意識に大きなずれがあり、大集団での取り扱いは、自己調整に多くの刺激をあたえ、学習意欲をもりあげたようである、第2次では、調査によるグループ分けを修正し、能力別の小集団授業とし、第3次にさらに編成替えをし、第5次で記録会をもつことにした。能力別編成で劣るグループの心理面が心配されたが、かえって意欲をもち、積極的に教師の助言を求めるようになったことは、効果的であったと思われる。到達度は、教授過程の「反応・評価」らんのとうりで、この時限でも期待以上の効果であった。
A 集団の再編成
事前調査の結果と実践から再三の編成替えをした、短時間の過程でも向上度合によって編成替えすることは、教材内容にもよるだろうがたいせつであると思われた。
B 教師の役割・分担
専門的なTLを得たことにもよるが、具体的な技能分析による役割・分担のため、個別指導、準備が徹底し、充足感がもたれたことは効率的であったと思われる。AグループをTLが担当したことも個別化の面から、安定性がみられたようである。
17 高学年理科の検証
(1) 研究のねらい
「理科の複数授業における体系化・個別化と教師の役割・分担」
理科学習の本質的な授業の展開として、資料の提示を中心として、教授・発問の同時的な成立をはかることにする。資料の提示には教育機器の導入が考えられ、教授・発問との関係で、「間のび」をなくするには、複数授業が効率的と思われる。そのためには、授業過程を吟味し、教師の役割・分担に満足感がもてるかをみる必要があるだろう。
そのねらいを具体的にすると次のようである。
ア.教授過程の各段階における、各教師の役割・分担のあり方をとらえる。
イ.教授過程での資料の提示・教授・発問の体系化を確める。(2) 6年題材とその取り扱い
題材 水溶液の変化−酸性の水溶液にアルカリ性の水溶液をまぜ合わせると、どうなるだろうか。
この単元は、水溶液をまぜ合わせたり、金属を入れたりするときにおこる変化をくらべさせたり、変化のしかたが、水溶液の性質や量、金属の種類などに関係することをとらえさせる。また濃さや温度などによっても変化のしかたが違うことに気づかせる。
このような学習は、既習経験から変化の過程を推論させ、実験の条件を整えて、現象を正しくとらえさせることになる。そのために教授過程を、問題意識をもつ−問題解決の構想をたてる−実験観察により確かめる−結論を問題と対比する−発展的意欲をもつ、5つの段階とし、特に資料の提示・教授・発問の相互作用による思考を要する場面で、複数授業をとりいれ、その効果を高めることにする。
(3) 題材構成
@ 本時のねらい
「中性になり中和することを知り、中和した時に別なものができることをわからせる。」
A 児童の実態
水溶液についての事前調査の結果は次のようである。 (理解)
ア.水にとけるものについて 89%
イ.水溶液を濃くすることについて 94%
ウ.とけているもの確めについて 76%
エ.酸性、アルカリ性、中性の水溶液の種類について 77%一般的に実験・観察に興味をもっているが、理解が断片的である。男女差はほとんどみられない。