研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 001/060page
I 国語科における問題の構成
診断的性格を帯びた標準学力検査問題の作成は、当教育センターの前身である教育研究所が、昭和29年からの継続事業として実施してきたものであるが、46年度に教育センターが発足したことと、学習指導要領が改訂になったこととにともなって内容に検討の手を加え、福島県診断標準学力検査問題として作成することになったわけである。
この学力検査は、児童の学習の結果を診断し、学習上の問題点を明らかにし、その治療対策をたてるための資料をつくることをねらいとしている。
通常おこなわれている評価のためのテストとは性格を異にしていることに注意ねがいたい。問題の作成にあたっては、はじめに学習指導要領の系統をおさえ、各学年で指導すべき指導事項をあらいだして、それをよりどころにして教科書の分析をした。教科書が県内各校必ずしも一律ではないので、現在発行されている教科書の中から県内各校で割合共通して使用されているもの3、4社えらび、内容の検討をした。
45年度まで使用されていた検査問題も、検討の結果、残せるものはできるだけ残していく方針をとった。しかし、学習指導要領の中で大きくかわった漢字の領域は、全面的に問題の入れかえをおこなった。この検査の標本校には、県内の小学校を学級数や地域類型等を考慮しながら抽出した。対象人員は各学年とも約一千人である。このことからもわかるように、この国語学力の水準は福島県における水準であって、全国とは直接のかかわりはない。
1.領域の設定
学習指導要領に示されている領域は、「聞くこと・話すこと」「読むこと」「書くこと」の三領域にわけられている。国語の学力ということになれば、これらの三領域の総合ということになるわけである。国語学力の診断となれば、三領域全部についておこなわなければならないのは当然である。だがペーパーテストによって診断していこうとすれば、そこにおのずから限界がある。特に「聞くこと・話すこと」の領域については問題がある。教育機器利用によってはある程度まで可能と考えるが、現在の県下各小学校の設備の実態から見て、それはむずかしい点が多い。そこで、診断のための領域を「読むこと」「書くこと」の二領域に限ることにした。
「読むこと」については、これをさらに「文字」「語句」「文・文章」の三つの小領域に区分し、指導要領の「読むこと」に示されている指導内容の中から、ぺ一パーテストで実施可能なもの13項目をあらいだして、小領域ごとの観点とし、それをもとにして37種類の問題を作成した。また「書くこと」についても「文字」「語句」「文・文章」の各小領域に区分し、指導要領に示されている指導内容の中から、15項目を取りあげ、小領域ごとの観点として、それをもとに26種類の問題を作成した。
「読むこと」と「書くこと」の領域ごとの問題の割合いは、指導の際の領域比重を基準にして、55:45をめやすにした。
・領域比重 「聞くこと・話すこと」 10%
「読むこと」 50% 「書くこと」 (作文) 30% (書写) 10% 問題総数は、低学年100題、中学年120題、高学年130題程度を標準にした。