研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 006/060page
2. 結果の考察
〔1〕 概観
(1) 読む領域
領域 文字 語句 文・文章 正答率 84.4 68.7 62.1
(2) 書く領域
領域 文字 語句 文・文章 正答率 75.4 67.4 66.2
上記の正答率を見てもわかるように、領域によってだいぶ差が見られる。同じ領域の中でも、問題によって高低が目立つ。読むことの文字の領域は、84.4%という高い正答率を示しているのに比して、文、文章の領域になると62.1%と低くなっている。この傾向は一般的に見られるものであり、過去2回実施した予備テストの結果からもいえることである。これは低学年では、総合的、有機的な国語学習がおこなわれ、「聞くこと、話すこと」が言語活動の中心になっているので、はっきりした領域を設定して、学力をとらえることには無理があることを示しているのかも知れない。また、このような形式のテストの経験も少ないので、慣れていないということも考えられる。
読むことの文字においては、2、3の例外をのぞけば、80〜90%台の高い正答率を示している。漢字を読む領域では、予想していた以上の高率である。原因としてはいろいろ考えられるが、幼稚園の入園率が最近特に高まり、それにともなって図書に親しむ生活が多くなってきていることと、小学校でも漢字等のような基礎的な学習に力を入れていることのあらわれであるように思われる。
漢字を書く領域においても、読む方と同様に高い正答率を示している。これは、1年配当漢字の数が、漢数字を除けば36文字しかないので、ほゞ理解できると考えてもよいのではないかと思う。
ただ、2年からの繰下げ漢字については問題がある。
語句の領域では、読む、書くが同程度の正答率を示しているが、内容の分析から考えられることは、語句というものを一面的な角度からしかとらえていないということである。語句それ自身の意味は理解していても、その語句の同類語、反対語ということになると、理解度が低下している点などはそのあらわれであるように思われる。即ち、語句を学習するときには、他のことばとの関連において理解するようにつとめるべきである。また低学年の語句の指導の重要なポイントでもある。領域ごとの正答率を対比していくと、読むことの文・文章がもっとも低い正答率をしめしているが、これは、文・文章の読解には、総合された理解力が要求されるものであるからではないだろうか。漢字力や語句力があっても、それが文・文章の理解につながらなければ、それは真の国語学力とはいえないのではなかろうか。
以後各領域の具体的な分析をとおしてくわしく考察していきたい。
〔2〕 各領域ごとの考察
(1) 3 読む・文字
この領域では、漢字、ひらがな、かたかなを読むことについての調査を目的としている。本来文字の読みは、ひとつひとつについて、音読をとおしてみることが理想的であるが、集団検査という制約があるので、字形の認知、弁別力を、○×あるいは、よみがなによる表記ということで、読字力を判断することにした。
問題一、二は、字形の弁別力を見ることによってひらがなの読みの力をみようとするものである。
提出された文字は、た−な、ぬ−わ−れ−ね、あ−お、ち−き、う−ら、さ−き、と−そ、る−ろ、ぽ−ぱの9群である。これらは、初歩の児童の特にまちがいやすいものと判断をした。
問題一
1の「たんぽぽ」の正答率が84%で、他はいずれも90%をうわまわっている。誤答を分析してみると、誤答者の約9%が「たんぽぱ」、5%が「なんぽぽ」と答えている。見あやまりということも一応考えられるが、字形の似かよったひらがなの指導には、もう少し意をくばってほしいと