研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 040/060page
ないことから起こる誤りで、指導の際には、今後とも字画を正しく認知させ、その上で十分に練習させることが必要である。
A ローマ字を書く
ここでは、「とけい」と「福島」とを書かせたが、どちらも正答率が極端に低かった。とくに後者の場合は15.3%で、無答の割合も6割を越している。このままでは、大きな問題であろう。
(5) 書く(語句)
この領域では、10問を作成して出題したが、正答率が40%台のものが2問、他はすべて50から75の間にはいっている。平均正答率も59.8と高く、とくに問題はなさそうである。
(6) 書く(文・文章)
ここでは、次に示した表のように、7つの分野にわたって計12問を作成して調査をした。その中で、正答率が50%を割ったのは、「会話の部分にかぎをつける」・「文章の中で接続語を使う」「文を続けて文章を作る」・「段落の区切りが正しく主題要旨の明確な文章を書く」の4つであるが、とくに悪いあとの二つについて考察をすることにする。(前掲の正答率表を参照)
大問番号 ねらい 小問数 大問正答率
一 二 三 四 五
句読点を正しくつける 会話の部分にかぎをつける 文章の中で指示語を使う 文章の中で接続語を使う ことばを続けて文を作る 文を続けて文章を作る 段落の区切りが正しく主題要旨の明確な文章を書く
1 1 3 1 2 1 3
56.4 48.7 66.3 45.8 71.8 33.0 33.0@ 文を続けて文章を作る
これは、作文力の一機能である文章構成力をみようとした問題である。文章構成力を測定する方法はいろいろあるが、ここでは、5つの文を配列の順序を変えて4群にして与え、それに番号をうって、原型の文章に復原させる方法をとった。問題文は、前のテスト問題で使用したものとまったく同じものを用いたが、前の場合の平均正答率が52.1だったのにたいして、今回は33.0とだいぶ悪くなっている。4群に分けた文は、頭にくる文を除いて、すべて「もし」、「しかし」、「だから」といった、副詞や接続詞が文頭についているものを用意した。したがって、正しく語句の照応を理解し文脈をは握していけばよい問題であるが、その点の能力が不十分であることがわかる。
これらの能力は、正しい文章構成力の前提になるものであるから、重点的な指導が必要である。A 段落の区切りが正しく主題要旨の明確な文章を書く
「読む」のところと同じく、「書く」の領域の中でも、この分野はやはり正答率が低い。とくに「何について書くか」ということの裏返しである「中心文」を正しくは握できたものが、21.6%しかなかったことは、大きな問題である。