研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 060/060page
敬語を正しく使う」能力については、一応順調に児童たちの中に定着しつつあると考えてもよいと思う。
なお、今後とも正しい語句の使用能力を充実させ、高めていかなければならない。そのためには、なんといっても、まず読解指導の場で語句の意義や構成、照応等について正しく理解させ、認識させるということがたいせつである。そういった忍耐と努力を必要とする作業を、毎単元継続していくことが、とりもなおさず、語い力の充実につながっていくわけである。そして、心情的な堀り下げを必要とする語句などについては、例えば読書指導の中で取り上げ、作品の主題や登場人物の人間性と関連づけて指導していくのも、有効な方法の一つであろう。また、特定の語句を素材にして、短文作成の練習を繰り返すことなども必要であろう。そういった基礎訓練を積み重ねた上で、作文指導の中で、指示語や接続語の脈絡に留意しながら、正しく照応した語句が使えるように、推敲指導を徹底させていけばよいのではなかろうか。
(6) 書く(文・文章)
大問番号 ねらい 小問数 大問正答率
一 二 三 四 五 六
文章の中で接続語を正しく使う 文章の中で指示語を正しく使う 文を続けて文章を作る ことばを続けて文を作る 段落の区切りが正しく主題要旨の明確な文章を書く 内容にあった文体を使って書き分ける
2 3 2 1 4 2
73.6 62.5 65.7 55.4 51.9 82.0ここでは、6つの分野にわたって、14問を作成して調査をした。その結果は、もっとも正答率の低い「段落の区切りが正しく、主題要旨の明確な文章を書く」分野でさえも51.9%になっている。6分野のうち4分野までが、平均正答率60%台以上を示し、最高の「内容にあった文体を使って書き分ける」という分野などは、82.0%にも達している。
以上のことから考えてみると、前にも述べた通り、この学年の国語の書く能力は、分野によってはきわめて充実しつつあるということが言えそうである。そして、ごく一部の分野を除いては、「読む」、「書く」ともに、基礎的な能力が身についてきているということも、また言えるかと思う。しかし、これはあくまでも、いくつかの条件で限定されているぺーパーテストをもとにしての分析考察であるから、資料としては一定の限界があることを了承の上、ご検討をお願いしたい。