研究紀要第3号 福島県診断標準学力検査問題報告書 国語科 - 059/060page
これらの漢字を、学年別漢字配当表をもとにして分類すると、次のようになる。
ア 4年 2字 法、成
イ 5年 2字 果、賛
ウ 6年 8字 態、策、展、招、券、憲、就、職
エ 備考 1字 暖この中でとくに正答率が低かったのは、「策」の26.8、「暖」の23.0、「就職」の11.6の3問4字である。そのうち、「暖」については、備考漢字を1字だけ実験的に入れたものであるから、23.0の低い正答率でも、やむを得ないであろう。むしろ、備考漢字でも、ものによっては、4人に1人ぐらいは書けるのだということのほうが、意味があるかもしれない。それにたいして、「策」や「就職」などは、当然もっとよく書けなければならない漢字であろう。問題は、具体的に次のような形で提示した。
それでは、「策」を例にとって、誤答の傾向を分析してみよう。まず、無答が全体の約3割近くもあった。どの領域でも、無答が多いということは、たいへん気になる現象であるが、文字力の問題ではとくに目につき、この領域の基礎学力の欠如について考えさせられた。誤答でもっとも多かったのは、「さく」に「作」の字をあてた誤りで全体の約3割、つぎには冠が落ちているか、または「竹」冠が「草」冠になっている誤りで約1割近く、あとは点画が多かったり少なかったりする一般的な誤りであるが、こういう誤答は非常に少なかった。ということは、この学年の段階になると、字画そのものをまちがって記億するというようなことは少なくなり、より正しい字形の認知が可能になることを示しているものと思われる。
A 同音・同訓の漢字を使い分ける。形の似た字を使い分ける。
ここで調査の対象として取り上げたのは、次の8問8字である。ア 同音・同訓 専、宣 望み、除く
イ 同音で形の似た字 検、険 複、復これらの漢字を、学年別漢字配当表をもとにして分類すると、次のようになる。
ア 4年 1字 望
イ 5年 1字 復
ウ 6年 6字 専、宣、除、検、険、複この中でとくにできぐあいが良くなかったのは「専」と「宣」の使い分けで、前者の正答率が52.5になっているのにたいして、後者のそれは27.8にとどまった。どちらも6年の配当漢字であり、使用頻度数もそう大きくは違わないと思われるのに、この大きな差はどういう理由にもとづくのであろうか。なお、この問題は次のような形式にして出題してある。
(5) 書く(語句)
大問番号 ねらい 小問数 大問正答率
一 二 三
文章の中で語句を 正しく使う。 文章の中で敬語を正しく使う。
8 2
86.2 93.5
すでに概観のところでも述べたように、この領域の正答率はたいへん高い。そしてそれは、6年の6領域の中で最高であるだけでなく、全学年の「書く」の語句の正答率の中でも、もっとも高い数値を示している。このことから考えて、「文章の中で語句を正しく使う」能力や、「文章の中で