研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 001/061page
I 算数科における問題の構成
1 問題作成の基本方針
このテスト問題は、それぞれの該当学年において学習した結果の学力の実態を診断的にとらえ、今後の学習指導に役立てる資料を得るために用いられることをねらいとしている。問題の作成にあたって、このテスト問題のねらいが達成されるように、つぎのことに特に配慮し、テスト問題の妥当性と信頼性を高めるように努力している。
(1) 当該学年で学習すべき算数科の内容についての基礎的能力をとらえうるようにする。
学習した結果の学力の実態をとらえるという観点から、学習内容の習得の程度を算数科の学力のひとつの内容と考え、その学習内容は学習指導要領に示されている指導内容であるという立場をとった。この指導要領に示されている指導内容の習得の程度をは握できるように、指導要領および教科書の分析を行ない、問題の作成および構成を考えた。
(2) 応用力をとらえうるようにする。
学習した知識をもとにして、より発展的に適応する能力、一般的な問題の解決力、さらに、統合、拡張する能力など、新指導要領のねらっている算数科における能力をもとらえうるように問題の作成にあたってくふうするようにする。
(3) 理解の深さおよびつまづきの箇所を診断できるようにする。
概念や原理・法則、あるいは計算および基礎的事項についての理解の程度の深さ、そして、つまづきの箇所をとらえ、指導に役立てるように、問題の内容および系列等にくふうをして、学習の結果を診断的にとらえられるようにする。
(4) 当該学年の算数科の学力について、概観的に且つ、教科内における学力の差異をも診断的にとらえられるようにする。
学力を概観的に、診断的にとらえるようにするには、学力の意味内容を規定し、その学力の分野・領域を細分して、それらの領域・分野のねらいにあった内容についての問題を網ら的に漏れのないように作成し、それらによって問題を構成することによってテスト問題としての妥当性が高められ、学力を概観的に、且つ、診断的にとらえうることができる。
ここにおいて、学力の分類方法は、つぎの2つが考えられる。
@ 経験(内容)領域による方法
国語における「読む」「書く」「話す」「きく」、また算数における「数と計算」「量と測定」「図形」「数量関係」のように生活経験・内容によって分ける。
A 能力概念領域による方法
「知識・理解」「技能」「思考」「態度」「鑑賞」……などの能力としてとらえる。
問題の作成にあたっては、上記の@、Aの両者を加味した分類による方法を用い、算数の学力を診断的にとらえるテスト問題として妥当性を高めるように意を用いた。ここで、教科内の学力の差異は学力の@の分類による経験(内容)領域による差異をとらえるようにした。以上のことを基本として、領域の設定、問題の内容、および小問数を考え問題を作成した。
2 領域の設定
前述した問題作成の基本的な考えから、領域は学習指導要領に示されている指導内容についての領域をそのまま用いるのが適切であると考えられる。それは、数と計算、量と測定、図形、数量関係の4領域である。この4領域を用いることにしたが、数と計算に関する指導内容の量が他の領域に比して多く、且つ、この領域では、数と計算の意味・理解と計算技能とが考えられるので、この数と計算の領域を2分し、数と計算の意味、計算の2つの領域を設け基礎的な能力を診断できるようにした。したがって、つぎの5つの領域・分野からなる問題構成とした。
・数と計算の意味 数の概念、計算の意味についての理解、および、四則算法を用いて問題を解く能力
・計算 計算についての理解と技能