研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 027/061page
2 結果の考察
〔1〕 概観
各問題の正答率は上表のとおりであるが、比較的高い正答率を示している問題はつぎのとおりである。
・4位数までの加法、減法計算
・乗法九九を用いての簡単な計算
・日常用いられるもののだいたいの長さの理解
・qについての理解
・g、Kgの理解
・角についての理解
・資料を分類、整理する。
・折れ線グラフを読む。このように、整数の加・減計算など形式的な計算や長さ、重さの単位についての理解、および表やグラフについて読みとる能力などについての問題の正答率が概して高い比率を示している。
正答率の低い問題は、つぎのように、小数の概念についての理解や四則適用能力および、余りのある除法計算、そして、基本的な図形の理解、数量の関係を式に表わしたり、それをよんだりする能力が劣っているようである。今までの指導要領では4年の内容であったもの、および、今回さらに深められた内容についての理解が低かったようである。
・小数の表わし方の理解 (33.3%)
・加法・乗法の性質を計算にいかす能力 (38.8%)
・整数の四則適用の問題を解く能力 (41.4%)
・除数が1位の場合の除法の計算 (38.2%)
・巻尺を用いて測定する能力 (45.6%)
・重さの単位をもとにして測る能力 (43.3%)
・二等辺三角形・正三角形の理解 (43.9%)
・円、球の直径、直径とまわりの理解 (35.7%)
・囗、△などを用い式に表わす能力 (38.5%)
・囗、△にあてはまる数を求める能力 (22.5%)量と測定の領域において、巻尺を用いて測るための巻尺の読み方、重さを測ることの意味についての問題の正答率が低かった。形式的な指導のみでなく、具体的な活動をとおし、測定の基本的な態度を身につけるようにしたい。このように、多くの内容について低い正答率を示しているのは、移行措置の条件下にある事実の現われである。
また、各領域の平均正答率は下表のとおりである。
領域・分野 平均正答率% 3 数と計算の意味の理解
1 計算
2 量と測定
4 図形
5 数量関係
43.0
69.6
63.9
57.6
57.8
ここで、数と計算の意味の領域が低い正答率を示し、特に、つぎのことが劣っていると思われる。
数の概念の理解については、小数の意味の理解が不確実である。測定との関連や、数直線の理解などをとおし確実な理解をはかるようにしたい。
つぎに、加法や乗法の性質などを計算にいかす能力が劣っているようであるが、計算に関する法則を具体的な事例をもとにし、その理解をはかるとともに、それが、能率的な計算のため活用できるようにしたい。
第三には、四則適用問題を解く能力が劣っている。加法、減法の適用される問題を解く能力はやや高いように思われるが、除法の適用や複合された問題を解く能力は劣っているようである。四則算法の意味、適用される場面の理解を深め、問題の示す数量の関係を洞察し、問題を解くことができるようにしたい。
図形、数量関係の領域については、今までは4年の指導内容であったのが、3年で指導する内容となった基本図形や、また「数量を□、△などを用いて表わしたり、□、△にあてはまる数を調べたりすること」のように、□、△は数値のはいる場所と考えるなどの考えが指導内容として新たにとりあげられた内容の問題の正答率が低かった。
具体的な図形の構成活動や操作をとおし図形の定義を確実に理解させ、弁別、作図、たしかめを的確にできるような指導のくふうが必要である。また、具体的な操作などをとおし、△、□は答をいれる場所を表わす、数値にかわる記号としてみられるような考えを漸次のばすようにしたい。