研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 028/061page
〔2〕 領域ごとの考察
小問の正答率および領域ごとの平均正答率からテスト結果の概観的な考察を進めてきたが、さらに、正答率の低い問題の誤答分析の結果をもとにし、領域における指導上の問題点について考察をする。
誤答分析は、答案用紙から100部抽出し、その答案について行なったので、反応率には若干の誤差があることを考慮して資料を読みとってほしい。
(1) 数と計算の意味の理解(3)
この領域は、万の位までの数の理解、小数、分数の意味の理解、および、加法、乗法における交換・結合の法則の理解、そして、四則適用の問題を解く能力の程度を見る問題によって構成されている。
この領域の平均正答率は、前述したように他の領域に比して低く、小数の構成についての理解、交換・結合の法則の理解、四則適用問題を解く能力が劣っている。これら正答率の低い問題について誤答分析の結果をもとにして考察を進める。
@ 加法、乗法の性質を計算にいかす。
つぎのけいさんをあんざんでやりたいと思います。けいさんしやすいようにしきをかきかえなさい。 (しきだけでよい)
(1)140+76+60=
(2) 5×67×2=この問題は、加法、乗法についてなりたつ性質としての交換・結合の法則について、それを理解し、計算などに用いる能力をとらえる問題であるが、加法の交換法則は42.9%の正答率であった。誤答分析の結果比較的多い反応率を示しているあやまりは、
・140+70+60と与えられた式そのまま (21%)
・60+76+140 (13%)
・140+126と216+60のような形式 (12%)
・5×67×2と与えられた形そのまま (31%)などである。
交換の法則について知らないためのあやまり、それから、交換の法則は知っているが、問題の意味である「けいさんしやすいように」ということを読みとれなかったためと思う。
計算の法則としての交換・結合の法則について具体的な事例を通してその意味や、よさについての理解をはかるとともに、計算を能率的に暗算でできるようにするために、これらの法則が用いられるようにしたい。
A 小数の表わし方の理解
小数の構造についての理解の程度をとらえる問題であるが、正答率は33.3%で低かった。
誤答としては、・4が3こと3が4こ (約19%)
・3が3こと4が4こ (約11%)
・1が3こと1が4こ (約11%)などで、前のような誤答は、3.4は3と0.4によって構成され、3は1が3つ、0.4は0.1が4つ集まった数であるという小数のくみたてが理解されていないあやまりである。
小数の意味について、つぎの・小数を用いて量を表わすこと
・小数で表わされた量を読みとること
・小数で表わされた数量の大小弁別すること
・小数の組みたてについてわかることについて正しく理解され、身についているとき、小数の意味についての理解がなされたといえる。特に小数の構造について
・小数の位取りの原理は、整数の位取りの原理と同じであること
・各位の単位の関係は、左に10倍、右に1/10の関係のあること
・小数は、0.1、0.01を単位にとって整数で表わすことができること以上のことを指導し、小数も整数も同じ十進数として、統一的に認めることができるように漸次したい
B 整数の四則適用の問題を解く
乗法と減法(減法と加法)の複合問題を解