研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 039/061page
(1)について
100名の無作為抽出の結果、正答率は30%で無答率は12%であった。誤答で一番多かったのは、万の位20%と断然多く、次いで10の位12%、1の位4%、100の位4%となっている。
(2)について
100名の無作為抽出の結果、正答率は6%で、無答率は16%もあった。誤答の中で多い順に並べると「13780」としたものが23%ともっとも多く、次いて「14」の11%、「13800」と「144」の5%、「1300」の4%、正解に近いが「14000」が3%であった。
以上の誤答分析の結果から見て、概数が使われる場面についての理解が不十分であり「約」などのことばを用いて、概数を必要に応じて用いようとする態度、傾向が低いことを示している。今後概数の指導において重要なことは、目的に応じた概数をとって、それを用いて能率的に処理してゆく能力を養うことである。したがって、概数をとって処理する適切な場の提示が必要である。概数が意味をもつためには、それが使われる場面においてである。場面から切り離された形式的な知識としての指導では、概数の必要性が出てこない。
児童にとって、四則計算などで小さな値まで正確に要求される算数学習の経験が概数の理解の抵抗となっていることも否定出来ないと思われる。
社会科などの教材についても適宜、概数の処理についての練習をさせることも必要であると思われる。
次にこの領域で低い正答率を示しているのは、4の「計算過程の計算法則の理解」である。100名の無作為抽出によって、その誤答の内容を調べてみた。その結果@については
正答率は17%で誤答例を高い順に示すと(え)30%、(う)13%、(い)11%、数値計算をしたもの5%で無答率は22%あった。
Aについては、正答率29%で、誤答率の高い順に示すと、(い)26%、(う)13%、(あ)3%、数値計算をおこなったものが5%あり、無答率は22%あった。
@Aとも正解であったのは12%という低い正答率を示している。
計算の指導では、やゝもすると計算の技能的な面に多くの時間をさく傾向がみられ、計算が交換、結合、分配などの法則をもとにしていることに着目させる指導は徹底しない傾向がみられる。整数の指導はこの学年で完了するわけであるので、加法と乗法が基礎の計算であり、その根底となる法則が、交換、結合、分配の3法則であることの指導を徹底させ、学年進行につれてこれら計算の3法則が自然数や整数だけでなく、有理数、実数においても成立するものであることを理解させるべきであると考えられる。この場合にも、具体的な場面に即して導入し、そのあとで、法則として抽象的に考察できるようにすることが必要である。
2 数量関係
この領域の平均正答率は45.47%で予想に比して高い正答率ではなかった。この領域は内容的には
1 関数
2 式表示
3 統計の3項目に分けられるので、問題構成もこのねらいにそって構成されている。この領域で特に低い正答率を示しているものは
・二つの事がらの起こる場合の落ちや重なりをしらべる………
・集合の関係を表わす記号⊃の理解
・公式の考え方の理解と利用の3問題である。この3問題について、100名の無作為抽出によって誤答傾向を調査してみた。
まず、二つの事がらの起こる場合の落ちや重なりをしらべる問題は
つぎの表は、ただしさんのはん8人について、ハンカチやはなかみをもってきた人をしらべたものです。