研究紀要第4号 福島県診断標準学力検査問題報告書 算数科 - 038/061page

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 ・同分母の分数の加減混合計算
 ・計器を用いての測定

である。形式的な計算や簡単な図形の性質および簡単な乗、除法の適用能力が比較的高い正答率を示している。正答率の低いのは

 ・概数を用いること
 ・計算過程の計算法則の理解
 ・等式の性質の理解
 ・公式の考え方の理解
 ・面積・体積・重さの単位相互関係の理解
 ・合同の概念の理解
 ・空間における位置の表わし方の理解

などの能力を問われる問題である。総合的に判断して、数や図形などの概念についての理解が不確実であり、単純な技能的計算には高い正答率を示しているが、少し思考力を要求される技能的計算には能力が低いと考えられる。また、領域別の平均正答率は下の表の通りである。

領域分野 平均正答率%

数と計算 (数概念)

  〃   (技能)

量と測定

図形

数量関係

39.10 (58.4)

65.56 (68.1)

49.33 (62.4)

42.98 (57.1)

45.47 (61.4)

   ( )内は43年度テスト

指導要領の改訂により、前回(昭和43年)のテスト問題とは、内容も異なるので小問、大問ごとの問題の正答率は比較にならないが、各領域ごとの難易の順序は前回と大体一致していて数概念の理解と図形に大きな抵抗があることがわかる。前回にくらべて、今回の平均正答率が低いのは新指導要領に対しての移項措置の期間直後であったことが一つの要因と考えられる。

数概念については、4年になると、小数、分数に関する内容が豊富になってきて、自然数のように具体性、親近性に乏しく、抽象的になっているため理解が容易でないと考えられる。したがって指導にあたっては、教具の改善工夫や視覚にうったえての理解をはかるなどの教授法の改善がのぞまれる。また図形についても、この学年から、基本的図形が系統的に入ってくるので、弁別、作図、たしかめを的確にできるよう授業のねらいを焦点化して指導にあたることが必要である。

 (2) 領域ごとの考察

領域ごとの考察を加えるにあたり、各領域で特に低い正答率をもつ問題を対象にして、誤答について調べることにする。誤答分析は本テスト受験児童より100名を無作為に抽出し、その反応をもとに考察を加えていくことにする。

 1 数と計算の意味

この分野は、概観でものべたように平均正答率は、39.10%で他の領域、分野と比較して特別に低いものである。この分野では、億、兆などの単位の理解、概数を用いることの理解とその表現、計算法則の理解、小数、分数の理解の程度をみる問題によって数の概念の理解の度合をとらえようとするものである。数概念の分野でもっとも低い正答率をしめしたのはA概数が用いられる場合の理解であった。

数と計算の意味


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