研究紀要第5号 情報処理教育講座 FORTRAN文法の手引き - 011/044page
5 代 入 式
FORTRANでは、整数型,実数型,倍精度実数型,複素数型の結果を得る演算、あるいは真か偽という論理型の結果を得る演算を行わせることができるのであるが、その結果をある特定の変数へ代入するための働きをもつ文を代入文とよんでいる。これには算術式の値を代入するための算術代入文と論理式の値を代入するための論理代入文がある。
5-1 算術代入文
(arithmetic assignment statement)
一般形
V=AEここで、Vは論理型以外の変数名、あるいは配列要素名であり、AEは算術式(arithmetic expression)である。
この文により、等号の右辺の算術式AEが評価され、等号の左辺の変数Vへ代入される。
等号の左辺と右辺の型は、原則として一致させておくことが望ましいが、たとえ型が異なったとしても、っぎのような約束にしたがって型の変更をして代入する。上の表で斜線の部分は、この代入が許されないことを示す。
〔例〕
I,Jを整変数,A,Bを実変数,C,Dを倍精度実変数,E,Fを複素変数とする。
I=I+1………I+1の結果は、整数型となり、それをIに代入する。
I=A+5………A+5の結果は、実数型となり、その整数部分を、1に代入する。
J=A−C………A−Cの結果は、倍精度型となり、その整数部分を、Jに代入する。
B=I/J………I/Jの結果は、整数型となり、その高位部分をBに代入する。
B=A+D………A+Dの結果は、倍精度実数型となり、その高位部分をBに代入する。
D=A−B………5を倍精度実数化して、Dに代入する。
E=A−B………A−Bの結果は、実数型となり、これを実部としてEに代入する。
F=(1.0,2.0)*A…(1,0,2.0)*Aの結果は、複素数型となり、それをFに代入する。