研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 005/036page
4.胚の呼吸を調べる
胚が呼吸しているかどうかを調べるには,呼吸作用によって排出されるCO2の検出ができればよい。その実験法を述べてみよう。
(1)セッカイ水によるCO2の検出
4か5のポリ袋の中にふ卵中の卵を入れ,写真−3のようにして,CO2をソーダ石灰に吸収させた空気を満たし,ピンチコックをしてふ卵器に入れ10〜20分後とり出して,袋の中の空気をセッカイ水中に静かに押し出し,白濁の様子を観察する。胚の成長と呼吸の関係を学習するには,成長の3段階くらいの胚を準備して,条件を統一して調べれば,その違いがわかる。ただCO2を検出したいという目的ならば13日以降の卵を使えばよい。
(2) BTB液によるCO2の検出
セッカイ水のかわりに,中性のBTB液(緑)の中にソーダ石灰をとおしたCO2除去空気を入れ,BTB液の中のCO2をおいだした液
(青)を使う。この液の中に袋の中の空気を押し出すと,液は青から緑,さらに黄色に変化する。
このことからCO2が検出できる。BTB液は青になればアルカリ性,緑で中性,黄色で酸性であるがセッカイ水と同じような使い方をすれば,利用できる実験法である。
※BTB液調整法
(イ)BTB(ブロム・チモルブルー)粉末1gにエチルアルコール2〜3cc加え,BTB飽和溶液をつくる。
(ロ)BTB飽和溶液1c.c.
水 100c.c. } BTB原液とする。
(ハ)BTB原液5〜6c.c.
水 1000c.c. } BTB使用液とする。
BTB使用液が黄色になったら0.1%NaHCO3を滴下しながらまぜ,緑色になったら,この液を使用する。
図−6
5.卵殼に穴があることを調べる
(1) メチレンブルー法
ア.卵の鋭端に,径1pほどの穴を開け,内容物をとり去った卵殼を用意し,この中に,70%アルコールにメチレンブルーを少量入れた液を満たし倒れないように支持して5〜10分放置すると,殼の外側に点々とメチレンブルーがしみ出してくる。このことから卵殼の穴の存在を知ることができる。(図−7)
図−7
イ.アと同じようにして作ったメチレンブルー入りの卵殼を,70%アルコールの容器に中ほどまで入れておくと,メチレンブルーが容器のアルコール中にしみ出してきて,青く着色される。この方法でも卵殼の穴の存在を知ることができる。(写真−4)
(2) フェノールフタレン法
半分にした卵殼に1NのNaOHを入れ,これをフェノールフタレンのはいったビーカーに浮かすと間もなくフェノールフタレンが赤く着色してくる。
これは,NaOHが卵殼の穴をとおして,フェノールフタレンに作用したからである。
対照実験として,表面にろうをぬった卵殼で同じことをして比較させるとよい。(写真−5)
(3) 水圧で卵殼をとおして空気をだす方法
径2pほどのガラス管の一端に,卵の鋭端か鈍