研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 006/036page
端を径2.5pの円形に,ヤスリで切りとったものをアラルダイトなどで完全に接着させたものと,対照実験用として,プラスチック板を接着させたものを作り,開口部を垂直に水中にさし込み,スタンドで固定しながら,両者を同じ高さにセットする。
図−8
ガラス管内の水位の変化と時間との関係は,つぎのようにでた。
この結果から,卵殼には穴があって,その穴を空気は出入りしているといえる。
X おわりに
「トリの卵」についての学習は,まず有精卵の入手法と価格の点でやや問題があるが,ふ化場との連絡を密にしておけば,困難なことはなくなる。
入手の時期は,ふ化をあまり行なっていない冬期間がよく価格も安価である。
この点指導計画を時期的に検討した方がよいだろう。実際指導にあたっては,視聴覚教具の利用も併用するのはよいことだが,これにたよりすぎると教える理科になり易い。
視聴覚教具は,児童の情意面の配慮として,部分的に利用するのにとどめ,やはり問題解決を重視した授業過程に基づいて学習を展開するようにしたい。そして,実験法も,既成のものを,ただ機械的に授業の中に持ち込むのではなくて,いわゆる児童の創造の結果としての実験が貴重視されなければならないのである。例えば,卵の中に空気があるということから,卵殼に穴があるのではないかという予想をたてたとしよう。これをどのようにして調べるかということになると,先行経験として持っている内容をもとにして考えることになる。
ところで先行経験としては,○空気は水の中で泡として見ることができる。○押し縮められた空気は押し返す力がある。○空気は穴のない容器からは出られない。○熱すると,水よりはげしく膨張する。などであろう。
これをもとにして思考させるには,“卵の中の空気を外に出して卵殼のどこから出るか目で見れないか”という課題がある。児童は考える。−卵の中の空気を出すには,中の空気を膨張させればよい。空気が出るのを見るには水の中がよい−ここで実験の方法は「卵を湯の中に入れる」 「卵をひやしてから湯の中に入れる」などなどとでてくるのではないか………そしてこれらの実験の結果をさらに補強するために,前述の5の(1),(2),(3)などの実験があるのである。
参考図書 久米又三 : 生物学実験法講座 中山書店 福島県理科教育センター : 研究紀要第4号 青森県教育センター : 理科実験講座テキスト 日本BSCS委貝会 : BSCS生物(緑版) 学習研究杜