研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 020/036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

うち,観測では太陽などの日周運動経路の記録がある。されに,それを季節の変化と関連させて考察し,地球の自転・公転に発展させるというねらいがある。
透明半球はノーモンに比較し,観測したデータの解釈が容易である点特徴がある。

前述2と同様な方法で発展させると効果的である。ここでは特に異る点を述べると図−2の地球モデルに硬質塩化ビニール板を止め,その上に画用紙を載せ,さらにその上に小型透明半球をセロハンテープで固定する。
そして,前述2と同様な方法(図−1参照)で半球上にサインペンで太陽の経路を記入していくと,各地(図−3,下段a,b,c,d)で極めて明瞭な違いを理解することができる。

4.発泡スチロール球をもちいた太陽・地球・月の運動

発泡スチロール球は最近教材として各分野に利用されている。特に軽量であり安価であることから,生徒の各グループや,あるいは個人に配布し学習させることが可能である。
ここでは,直径8p球を太陽に,直径4.5p球を地球・月(着色して区別する)に使用し,図−6−@・6−Aのような配置をする。そして,これを利用して各天体の相互関係を理解させようとするものである。

図−5 発泡スチロール球によるモデル実験
図−5 発泡スチロール球によるモデル実験

図−6−@ 発泡スチロール球を使用した太陽系モデル
図−6−@ 発泡スチロール球を使用した太陽系モデル


図−6−A 発泡スチロール球(地球)と太陽高度との関係

図−6−A 発泡スチロール球(地球)と太陽高度との関係

まず,透明半球・ノーモンによって各季の太陽および月の高度(南中時)を求めておき,その日の高度を図−6−2のようにまち針でセットする。
今仮に夏至の頃と冬至の頃を例にとると図−6−@のような関係になる。最初にセットした段階では地軸はaやcのような状態になっている。ところで針の方向は太陽光線方向に平行にならなければ実態に反する。そこで太陽光に対して針が平行になるようにa→b,c→dに地軸を動かす必要がある。この様な操作をすることにより地軸の傾きがデータをふまえた上で理解できよう。
また,このことが地球の公転・自転の現象と充分に関係づけて学習できるものである。

次に,各季の月の高度について考えると,図−6−@は夏至,冬至の満月の頃の月を表わしたものであるが,このモデルから明らかのように,夏の月の高度は極めて低く,冬の頃の高度は極めて低いことが理解できよう。月の観測の結果とよく一致するものである。
最後に天体の現象を探究するにはやはりそれぞれに応じた効果的なモデルの利用がいかに重要であるかを痛感するものである。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。