研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 019/036page

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陽にむき,秋分にはおき上り,図−3・bのようになり,冬至には反対側に北極側を太陽光とむけ,春分には再びおき上り図−3・bのようになるような運動のくり返しのことである。
そこで,上のような仮説に立って検証をする一例として,北極星を中心とした恒星の日周運動の現象をどう理解するかが問題となる。もし,仮説のように北極側が頭を振るような運動をしたとすれば年間を通じて同様な恒星の日周運動を見ることはできないであろう。

そこで,図−3・bのモデルは修正しなければならない。即ち,bは,c,dの傾いている状態と同じように傾いている。(図−3のb図の地球が,手前,ないしは向こう側に傾いている図)とれば,北極が頭を振るような運動をしなくとも,透明半球の観測結果のデータに矛盾しないしさらに恒星の日周運動にも矛盾がなく解決できる。
このように観察,記録,分類,予測,推論,モデルの形成,仮説の設定,検証などの段階を無理なくたどらせることが重要である。

2.ノーモン(棒時計)によるデータ(日影曲線)をもとにしたモデル利用と指導

特に高校・地学において取扱う内容であるが,日影曲線作製した結果から地球の自転・公転を推論させるための中間的な補助としてのモデルの利用も極めて重要である。即ち日影曲線の形,および位置が変化する事実をモデルに再現できれば思考を深めるのに効果がある。

図−1・2の地球モデルの北半球・中緯度のボルトナットbに硬質塩化ビニール円板を止め,これに円形の画用紙をあげ(間隔1p位の円を描いておく),さらに太陽光(電球,写真用照明500Wなら5mぐらい離す)をあて,地球モデルの地軸を回転(軸はスタンドに止めておく)させ,日影曲線をサインペンで記載する。

この場合留意すべきことは,ボルトナットの先端の長さ(2.5p)があまり長くないことである。 それは太陽光の平行光線が容易にできないので誤差が大きくなる欠点があるためである。 地球モデルをもちいて作図されたものは,図−4の上段bに見るように極めて実際のそれに近い線が得られる。

さらに,地球上の他の特徴ある地域について,推論させるためには,モデルなしでは種々の要素を含み混乱をきたしてしまうだろうと考えられる(図−4,上級a,b,c,d参照)。
この様に発展させることによって,空間的な概念が徐々に定着してくるのではないだろうか。

3.透明半球によるデータをもとにしたモデルの利用

中学校・高校地学でそれぞれ使用するが,その

図−4 日影曲線,小型透明半球上の太陽の日周運動(地球モデル,図−2使用)
図−4 日影曲線,小型透明半球上の太陽の日周運動
上段:日影曲線
下段:小型透明半球上の太陽の軌跡(半球の真上から見た形)


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