研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 028/036page

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ドプラー効果モデル実験装置の製作

柴 田  宣 教

 

 

T はじめに

ドプラー効果について,高等学校の物理では,音と光の場合についてとりあげられ,式と思考実験により導いているのであるが,この思考は目にみえぬ対象を考えるもので相当高度であり,ついてゆけない生徒が多いのではなかろうか。

一方,地学では天体の観測による星のスペクトルの赤方変位から宇宙の膨脹を説き,また実用の世界では超音波または電波のドプラー効果を利用して,速度測定に応用している。
このようにいろいろと発展性のある物理事項であるので,生徒に実験を通し充分理解させたいと考える。しかし,実際のドプラー効果の実験は,対象が高速度の音や光であるので教室で行うことができない。水波を利用し,オバーヘットを利用して説明することはできるが,定量的にあつかうことは困難である。そこで,その現象を説明するだけでなく,定量的な実験から公式にまでもってゆく方法として,モデル実験装置を工夫するのがよいのではないかと考えた。

ドプラー効果の指導にあたって筆者は従来次のような思考モデルを考えさせてきた。
音源が近づいたり,遠ざかる場合のモデルとしては,ゆるやかに一様な速さで流れる川を考え,その川のほとりで,一定時間間隔でリンゴを水に落しつづける。リンゴは等間隔で流れてゆく,この様子を音の波の進行に見立てた。いま,川下に向って歩みながらリンゴを落しつづけたら,流れるリンゴの間隔は小さくなるだろうし,上流に歩きながら落せば広くなるだろう。この間隔を音の波長と考えさせたのである。

当然川下に静止してこのリンゴを拾う人は,リンゴの間隔がせまいほど,単位時間に多く拾いあげることができるわけである。単位時間に拾いあげるリンゴの数を,耳にする音と考えさせたわけである。

観測者が音源に近づくとき耳にする振動数が大きくなることについては,等間隔でリンゴが流れて来るとき,これを川下で拾いあげるのに,静止して拾うより川上に歩みながら拾った方が,一定時間に多く拾える筈である。と考えさせ式を導いてきた。この考えをそのまま,モデル実験装置に作ってみた。

 

U 実験装置の製作

1,レール及び記録紙駆動部分

長さ180p,幅12p,厚さ2.5pの平らな板の上に図1のようにレールと,記録紙引き用のモーターと,ローラーを取りつけた。
レールは,模型電車用15oゲージのものを,8本ずつつないで取りつけた。2組のレールの間に,記録紙トラックを作るため,枕木と枕木の間隔を5.6pとした。(記録紙は電動加算器用の記録紙幅5.5pのものを用いる。)
記録紙引きはマブチ55のモーターを用い,オームギヤを用いてに減速し,直径1.4pの丸棒を回転させ,もう一つの丸棒との間に記録紙を通して引くようにした。
〔図−1〕
図-1

2,音源車

幅6p,長さ10p木片に,車輪とモーター,振動ペンとその動力を,取りつけたもので写真1に示した。
車輪は15oゲージの動力車用のもの2組を使用し,動力用としてマブチ56モーターを用い,のオームギヤで減速して動輪に伝えた。
振動ペンは,車に乗せた単2の電池と小型モーター(マブチ36)から動力をとり,オームギヤで


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