研究紀要第6号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 030/036page
音源車の速度uと,記録紙上に画かれた波の波長λとの関係を示したのが図3である。音源が近づくときは速度と共に波長が小となり,遠ざかるときは速度と共に波長が大となることがわかる。
(3) グラフの解析
グラフは縦軸をAの点で切る直線になったのであるが,このグラフの式は
λ=k′-ku………………(1)
と書ける。
k′は切片OAであり,OAはu=0のときの波長でありとなる。グラフを外挿し横軸と交わる点をBとすると,B点は波長が0となる点,すなわち音速と音源の速度とが一致する点と考えてよい。したがって
OB=vとなる。kは直線の勾配であるからとなる。
このk,k′を(1)式に入れると
となる。即ち動いている音源から来る波の波長は(2)式で示されることになる。
この波を静止している観測者が耳にする場合には
の振動数の波(音)となるわけである。
2,観測者の運動による振動数変化
(1) 実験
@静止の音源車から一定振動数の波を出しておき,記録紙を流して波を到来させる。観測車を動かし,記録紙上に観測車の打点ペンの出す時間マークを記録させる。観測車の速度uはストップオッチで測る。
A打点ペンの振動数を測定しておき,1秒間に何打点するかをしらべておく。
B記録紙を見て,観測車が1秒間に幾つの波をキャッチしたかを調べる。
(2) 結果とそのグラフ
記録紙に画か れたデーターの一部を図4に示した。打点ペンの振動数は,ストロボで測って,1050回/分,1秒間に17打点である。
〔図−4〕
測定結果を次の表にまとめた。第1欄は観測車が50p進む時間,第2欄は音源車の速度u′,第3欄は記録紙上の17打点間(1秒間)に対応するず波の数(耳にする振動数に相当する)N′である。
これをグラフにしたのが図5である。観測車(者)が近づくときは,速度に共に毎秒キャッチする波の数が増し,遠ざかるときは速度と共に減少することがわかる。
〔図−5〕
(3) グラフの解析
このグラフからN=K′+Ku′………(1)
の式を作ることができる。K′はN軸上の切片OAであり,観測車(者)静止のとき耳にする振動数で(v……波の速度,λ……λ波の波長)とおくことができる。