研究紀要第7号 児童生徒の生活意識と社会観に関する研究 性文化に関する調査 - 009/052page

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となっていると思う。反面たえず若い人の服装やおとなの生活のしかたに問題があると考えている者が,学年が進むにつれて少しずつ増加し,現実の動きを凝視し,時代の進んでいく方向をみつめ検討していくという状態もうかがわれる。

 マンガやエッチな映画が多いと混乱を認めるものは,高校生が小中学生より多く,特に女性は男性より感覚的なことは敏感である。

 よく考えあわせると人間生活というのは,いつの時代においても前進を続け,進化していくものであるが,反面危険におびやかされる。そうした中で社会の前進に自分から参加していく態度でありたいと思うし,そこに人間としての真の姿も感受されるであろう。

 (4) 人生観

 あなたは「どんな考えで生活するのが,いちばんすきですか。」と聞きただしてみたところ,下記のような結果がでる。

−どんな生活がしたいか−

どんな生活がしたいか

小・中・高の発達の度合が,上記の表のようになってあらわれたが,小学校ほどなかよく助け合う生活とえらい人,先生,親の教えてくれるような生活を望んでいるが,中学校,高校と学年が進むにつれて他人にめいわくをかけない生活とその反面気楽な生活を望み,依存的な関係より自主的な生活に幸福を求めるという態度に変わっていくことがわかる。

 男子と女子の性格から女子は,なかよく助けあう生活がのぞまれている。自分のつごうのよい孤立した形より,みんなで仲よく生活する中に,自分の価値を見出す---社会的共感---まったく新しく構成されている社会の中での共感を体得できて,ひとりひとりが責任をもつ生活でありたいと強く願っている。

 またしかたによっては,自分の欲望を生かし,一時的に対人関係をことわり,自分だけの生活に入るが,自分だけの生活に入りこむことが人間関係をこわすことのないように,社会に適応できる人間を育てたいものと思う。

 

 4.調査結果より考えられること

 「社会認識における子どもの実態」とくに社会観についての調査をしたが,子どもたちがつねにもっている「何故か」と追求する欲求は,学校・家庭,社会において必ずしもじゅうぶん育っているとはいえない状態である。

「末来を開く豊かな教育」をめざして社会に対する正しい認識のしかたも成長しているが,生涯教育にうらづけられながら型にはまらず,人間のもつ可能性を伸ばしていかなければならないであろうと考えられる。

 周囲の環境にすぐ影響されやすい体質よりも自己の理想を育て,世間体や義理人情にこだわることなく,個人の尊厳を重んじ,真理と平和を希求する人間的な成長が期待されよう。


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