研究紀要第7号 児童生徒の生活意識と社会観に関する研究 性文化に関する調査 - 040/052page
小・中学生では,半数以上が手をつないでよいという答えになっているが,手をつないでいるのはおかしいという意見も小学生より,中・高生にいくにしたがってふえてくるし,特に高校女子の28.4%が,いちばん多い状態である。
手をつなぐのをやめたほうがよいという意見も小・中・高生,ほとんど差のない状態ででているし,よくわからないというのは,低年令のものほど多くみられる,小学校男子17.2%,小学校女子の20.6%いるのをみても考えさせられる。
このようにみてくると男女交際のしかたで手をつなぎ楽しく歩く姿に好感をもったり,仲よくしている姿を明るく受けとめたりするのは,互いに理解しあいたいという気持ちが根底にあるからだろうか。おたがいの人格を尊重しあい,限度ある交際をという意見が,手をつなぐのはおかしいという意見または手をつなぐのはやめた方がよいという結果になったのか。あるいは日本には,まだ古い観念が残っていて,男女の軽い接触が手をつなぐという形であらわれてきたのであろうか。
中学校男子の60.1%,中学校女子の52%から,高校男子の62.7%,女子の39%をみても,上学年にいくにつれて,男は積極的で女は受動的である行動の一部分を示しているようである。
そこで学年の発達段階に応じた指導が,当然考えられてよいであろう。
3.ま と め
男女交際のしかたもその時代の社会思想に影響されてきているのではなかろうか。
今日のような民主的な思想の自由が保証され,人間性回復の時代をむかえ,男女交際に対する考え方もむかしながらの考え方で行動を律することを期待しても賛意を得られるはずもない。交際のしかたもその時所位と人との関係において多様な言動になって表現されよう。
「思春期における性教育」はどのように取扱うべきなのか考えさせられる問題である。
性教育こそ新しい意味での人間教育ができるものであるともいわれるが,人の子の親も教師も,もう一度性の概念や男女交際のありかたについて再考する必要があろう。
それにつけても秘められたもの,かくされたものとしての性教育でなく豊かな人間性回復という健全な立場に立ってよりよく生きるために ひとりひとりが価値ある生きかたができるように見直すべきではなかろうか。
V む す び
性教育ということばも,正しい意味で通用するようになったが,性の解放とか商品化もますますエスカレートしている傾向がみられる。児童、生徒の成長の加速現象も加わって,性ヘの興味,関心を示すようになってきているといえよう。
このたび「児童・生徒の生活意識と社会観に関する調査」特に性文化に関するものについてとりあげられた意識調査は,同性や異性に対してどういう見方をしているかについて実証的なデーターをとりえたことにより,現場の性教育資料としてお役に立てるのではないかと考えている。
はじめに,この調査は「眠っている子を起すようなものだ。」との考えは,どこからもうかんでこなかった。
子どもたちは,幼ないころから性に目ざめ,いろいろ質問をとおして性についての疑問をなげかけている。
無知による従順さを期待するといった古い観念は,無関心すぎるくらい不思議なことのように思われる。
性教育についての再認識,再検討を要する時期にきているといえるのではないだろうか。
こんなことを考えながら性教育の現状を再度反省せざるをえなかった。セ.セ.セ(必要性) 性.愛.交際(反省)マスコミ.親子(期待)の8力条をつぎにあげて若き世代に対する性教育への自らのいましめとして努力したいと考えている。
セ1.性とは,はずかしい,けがらわしいものとする親の考えが,子に反映してないか。
セ2.性の問題を日常的なものとする必要があ