研究紀要第8号 教授組織に関する研究 実践編 - 029/029page

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(7)考  察

@ 基調案について

ア 教授の分担や位置および協力の方法が明確になるのでよかった。
イ 指導内容や指導時数のかたよりの是正ができる。

A 指導計画について

ア 領域が絵画にだけ限定したので立案が少し困難のように思われた。
イ 領域を限定しないで合併可能な題材を選択してやるのも,一つの方法であると思われる。

B 授業について

ア 教材研究に深まりがでて指導内容が精選できる。
イ 教育機器の使用や資料の提示活用について場と機会に応じて適切にすみやかに行なうことができる。
ウ 発問事項について,むだのないよう気をつけるようになったが,さらに精選することを考えたい。
エ 児童の評価,および教師の反省が即時にできて,次時につながる指導の観点が得られる。

C合併授業に対する児童の反応

ア ふだんの授業のときよりもよくやりおもしろかった。……74%
イ おもしろくてやりがいがある。……87%
ウ ふだんの授業と同じく緊張しないでできた。……79%
エ これからも,もっとやりたい。……82%

(8)児童の変容

@ 教師の考えと児童の考えが密接に結びつき教師の指導に対して児童の活動が,自主的になり,学習のサイクルがスムーズに行なわれるようになった。
A 合併の授業に対し,大多数の児童が,それを心待ちにしているようすがうかがえる。
B 特にすぐれた児童の技能,技術に同調し,児童相互の間に微妙にレベルの向上がみられる。


11.研究のまとめ

 この研究をはじめて4年を過している。理論研究にはじまり,組織体の機能化として,学校経営のあり方を検討して,こうあるべき教育組織・活動を想定し,本県の実態とその問題点を調査し,改善の方向と視点を明らかにした。

 これを基盤として実際的に検証するため,福島市立吉井田小学校を実験学校に委嘱する・学校の実態から具体的な研究のねらいを設定し,全学年による体育の一部合併授業と,低学年による算数,中・高学年による理科の複数授業をとおして,協力体制での教授過程とその役割・分担活動のあり方を研究し続けている。

 さらに現場の要望に応じ,小規模少人数学級校における教授組織の改善について実証を得るため,安達町立下川崎小学校を実験学校に委嘱し,低・中・高学年での1部体育・音楽・図工の異学年合併授業をとおして,その教授過程と役割・分担活動のあり方を究明している。

 この紀要は,一応のまとめとして,ある改善の考え方と,その実践状況を示したものであるが,今後に多くの間題を残している。
今までの両校のご協力とご努力に対して感謝するとともに,多くの皆さまのご批判・ご指導を願いたい。

担当者 内 藤 善 次


《参 考 文 献》

教科担任制による学校指導組織の近代化
  神奈川県共同研究学校編
【明治図書】
 
協力教授組織による授業改善
  日俣周二著 
【明治図書】
 
教授・指導組織の改造
  日本ティーム・ティーチング研究会編
【明治図書】
 
教授組織の改革
  大野連太郎著
【明治図書】
 
小学校教育の近代化をめざして教科分担方式の実践と効果
  横浜国大・附属横浜小学校編
【国土地理協会】
 
教授組織の改善
  全国教育研究所連盟編
【東洋館出版社】

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