研究紀要第11号 学習指導改善に関する研究 理科実験器具の作成 - 002/024page

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2.生物顕微鏡を偏光顕微鏡として利用するための装置とその光源装置

1.はじめに

 各学校には偏光顕微鏡の台数が不足しているのに反し,生物顕微鏡は割合い多くの台数を所有している。
 ここでは,この生物顕微鏡を偏光顕微鏡として利用するための装置の製作法を紹介しようとするものである。

2.製作の方法・および材料

(1) 上方偏光装置の製作(図1)

 @外径38oの硬質塩化ビニル管を40oと10oをのこぎりで切りとる。Aこの間に厚さ1o・径38oの塩ビ板の中央に径10oの穴をあけ,下側より偏光板(三菱ダイクローム)をはりつける。B内径38oの塩ビ管を帯として接着剤(ボンドVL)でとめる。

(2) 下方偏光装置の製作(図2)

 @厚さ1o・径100oの塩ビ板の中央に10oの穴をあけ,その穴の中央になるように内径38oの塩ビ管(高さ5o)を接着する。A次に厚さ1o・径85oの塩ビ板上に径85oの分度器を2枚(360°になる)接着し,その中央に径10oの穴をあける。Bその穴を中心として高さ8o・外径38oの塩ビ管を下側より接着する。
 @とABの装置を組みあわせて下方偏光板ができ,@とABとは自由に回転できるようにする。

(3) 光源装置の製作(図3の場合)

 この光源装置は生物顕微鏡の支柱に磁石で固定(反射光源とする場合)したり,載物台の下におき透過光源としたりして使用する。
 @15×110o・厚さ1oの塩ビ板を図のように熱で曲げる。A下側に円形磁石を接着する。B上側には台付きソケットをはりつけ,それにニップル球をとりつける。C導線は細く,できるだけやわらかいものを使用するととりあつかい易い。

(4)光源装置の製作(図4の場合)

これは,クリップル銅線1o径を使用し普通の豆球用ソケットを止めて使用するようにしたものでニップル球を使用している。
 下側からの透過光源としても,上側からの反射光源としても,はさみ方を変えることにより自由に使用できる。

3.使用法・および効果

(1) 上方偏光板は接眼鏡(顕微鏡の)にかぶせる。

(2) 下方偏光板の下側の塩ビ板はクリップで顕微鏡載物台にとめる。上の分度器のついた部分は自由に回転でき,その上に岩石はく片をのせ固定する。

(3) 光源装置はニップル球を使用するが,明るさは普通の光源装置(7000〜10000円程度〉に比較し,はるかに明るく,極めて効果的である。尚電源は乾電池3Vを使用する。

(4) 効果

@ 費用は1台分で約250円以内でできる。
A 生徒(中・高校)に充分作れる
特別な工具,および材料を使用していない。
 ただ三菱ダイクローム(偏光板)はとりよせる必要があるが,地方の教材店にたのめば,とってくれる。値段は30p×30pで3,000円ぐらいである。
B 製作時間が短かい。1台約30分でできる。
C 使用した場合の効率(観察する場合)がよく実用性がある。

4.おわりに

 紙数に制限があるので充分にいいつくせない点があるので,不明の点は教育センターに問いあわせられたい。


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