研究紀要第11号 学習指導改善に関する研究 理科実験器具の作成 - 024/024page

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20.簡易磁束計

簡易磁束計

1.製作のねらい

 磁界の強さを測定する用具としては,ホール素子を用いたものが市販されているが,数万円もするものであり,しかも感度がもう一つ不足である。また授業に手軽に使用できるものとしてはPSSCの電流天ぴんが紹介されているが,これは大きな電流を流して使用しなけれぱならない。測定値のバラツキも大きい。絶対精度は悪くとも,比較値を容易に測定できるものとして,マグネットダイオードを用いた磁束計を試作した。

2.マグネットダイオードについて

 ここで使用したマグネットダイオードはソニーの製品でMD230A 2,250円で入手できる。(福島トランジスター TEL福島(22-6876)
 MD230Aは二つのダイオードが〈図2〉のようにペアで組込まれており,紙面に直角に紙面の裏から表方向へ磁場をかけると,PN間の抵抗は減少し,PN間の抵抗は増加する。したがってこのダイオードを〈図1〉または〈図3〉のように組んで磁束計として使用できるわけである。

図43.つくり方

 穴あき基板(4p×7pぐらいに切る)に部品を取りつける。
 ケース(7p×10p×3pぐらいの箱)におさめ,電池をつなぐ端子と,電流計をつなぐ端子を取りつけておくとよい。
ダイオードは結ぶのに3線必要であり,つなぐときの混乱をさけるため,50pぐらいのリード線をつなぎ,直接基板に取りつける。
 ダイオードは小さなものなので〈図4〉のようにボールペンの軸などの先に接着剤でとりつけて使うと便利である。

3.使用法と間題点

 〈図1〉に示した直接型は感度が不足ぎみで強い磁場でしか使えないが,検出用メーターに検流計を使えばさらに感度をあげることができる。
 〈図3〉はトランジスターを用いて増巾したものであり1mAの電流計を用いると相当な感度が得られる。零点調整がうまくゆかないときはR4の抵抗の値を少し変えて見るとよい。
 マグネットダイオードは温度によって抵抗値が変化するので磁界の絶対値の測定は無理であるが,その日にヘルムホルツコイルで較正しておき,一時間以内に完結するような実験には充分使えるようである。


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