研究紀要第11号 学習指導改善に関する研究 理科実験器具の作成 - 023/024page
19.ヘルムホルツコイル
1.製作のねらい
磁界の指導にあたって困難を感ずることの一つは,磁界の単位が抽象的で実感としてとらえ難いことにある。空心コイルの中央部磁界の強さH=nI/であると言っても,その中央部に磁針を入れて見ることもできず困るのである。
ヘルムホルツコイルは中心に近い部分で相当広範囲に一様な磁場が得られ,その中に磁針やその他の磁界測定用の用具を入れることができるし,その磁界の強さが理論的に定められるので磁界の基準として便利に使うことができる。2.つくり方
図のような1組のコイルを,その半径だけ離して並べればよい。
材料 直径12pぐらいの塩ビパイプ(下水用)
ベニヤ板 16p×20p 4枚
銅線 =1o 約20m
塩ビバイプを2pぐらいに輪切りにする。写真のように,2枚のベニヤ板に塩ビパイプの両端にはめ込んで巻枠とする。この巻枠に銅線を正確に50回巻く,これを2組作る。
この2組のコイルを厚板の上に平行に,コイルの半径だけ離してとりつける。
コイルの巻き方向が同じ向きになるように両コイルの端をせつぞくする。他のコイルの端にターミナルをとりつけて出来あがる。
一つのコイルの巻数をN,コイル半径をRmとするとし,電流1アンペアを流すとき,コイルの中央部の磁界の強さは
アンペア/mとなる。
なおガウス(エルステッド)単位で示すには
アンペア/mに
をかければよい。3.使用例
(1) 地磁気の水平分値の測定
コイルの中心軸を東西方向に正しくおき,中心部に方位用磁針をおく,電流を流して磁針が北から東又は西へ45°傾くようにする。
この場合の地磁気の水平分値は,上記計算によるコイルの磁界に等しい。(2) 各種の自作磁束計検定の標準磁場として使用する。磁束計の自作については別項に述べる。