研究紀要第12号 学校経営改善に関する研究 理論と事実編 - 014/016page
それでは校内研修をどうおさえるかということになろうが,学校経営方針により,教育の展望と現実性に立った,「協力体制による役割分担をとおした課題解決である」ということができよう。
そのねらいは,もともと研修は個人に成立すべきものであり,個人の資質の向上をはかるのは当然であるが,組織体として行なう学校における研修である以上,その学校の改善充実の過程において,「ひとりひとりの児童・生徒のよりよい伸長をはかる」ことになるといえよう。
A 研修のおもな内容
研修内容は,教育活動のすべてにかかわりあいをもつ広領域なので,視点を設けて類型化してみる必要があろう。その一例をあげると次のようである。
領域面
ア 教授・学習事項に関すること
イ 事務事項に関すること
ウ 運営事項に関すること
構成面
ア 教育内容に関すること
イ 教育組織に関すること
ウ 教育方法(技術)に関すること
なお,具体的内容を追求し,おもなものをまとめてあげると次のようである。
表26 研修のおもな内容 (%)
事 項 小学校 中学校 高 校1 教育内容を中心して,生徒指導・校務処理を加えている 45 42 272 教育内容と生徒指導をほぼ同率に扱っている 10 17 153 学習指導が主であり,時宜に応じて生活問題を取り上げる 12 17 94 その他 33 2449
「その他」については,「学年(学年団)教科部に一任」,「研究課題の展開」,「教材・教具の整備・活用」,「教育機器の活用」などがあげられている。
B 研修の単位
学校という組織体の機能を十分発揮するため,重要な役割をもつ校内研修を運営組織上どう位置づけたらよいかということになる。
組織体の機能は,「共通のねらいを求めて2人以上の構成員が役割分担をとおして協力し,継続的に努力する」ことにあると解することができよう。
共通のねらいは,教育の展望と実態から問題点をとらえ,解明の見とおしをもつ課題の追求になるだろう。
役割分担をとおしての協力は,協力単位が必要になり,その単位として学年部,あるいは教科部が考えられよう。これらを単位とすることは,学校組織の単位であるばかりでなく,学年部,教科部といった小集団は,あらゆる集団の特質を備えているか,その可能性をもつもので代表的な集団とされるからである。
こうした集団においては,協調性と独自性がよく統制され,十分役割分担が生かされるものと思われる。しかし小規模校の学年単位指導時数の少ない少人数教員担当の教科部単位に問題がある。
前者については,管理的立場の教員による学年外集団をつくり学年団(2個学年集団)単位とし,後者については,合科集団単位にするなど運営上の問題として解決されると思われる。
継続的な努力については,組織本来の姿を具体的にとらえてみる必要があろう。
組織を仕組みとか,わく組みとか,態様とかにうけとめただけでは具体化されたとはいえない。
それで具体的には,「せざるを得ないように仕組む」ことであると考えたい。
たとえば,教授・学習の実際面で指導計画の共同作成をするとしたなら複数授業を採用するとか運営場面で研究公開を意図したならば,計画当初に行事申請をしておくなど,組織構成員の意思活動を助長する配慮が必要になろう。
C 方法と活動
研修の実際に当たっては,実態は握に立って具体的に主題をとらえ,見とおしをつけた計画を設定することになろう。
実態のは握には,研修をあらかじめ大別してみ