研究紀要第12号 学校経営改善に関する研究 理論と事実編 - 013/016page

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(4) 職員会議の機能

 「職員会議は校長の諮問機関である」という立場は,学校経営の最高責任者は校長であり,学校経営上のすべてが校長のもとに統制され,掌握されるべきであり,職員会議もその権限内にあるとされる。しかし,教育組織の特殊性から十分職員全体の意思を尊重しなければならないだろう。
 職員会議の機能を要約してみると次のようである。

表24 職員会議の機能
その1
区  分
内  容
1 ライン機能 校長の指示伝達に関すること
2 スタッフ機能 校長の重要問題の諮問に関すること
3 調整機能 教職員の意思・情報の連絡調整に関すること

その2
区  分
内  容
1 オリエンテーション的な機能 方針,組織,分担等について理解しティーム・プレイの観念を形成する
2 研修的な機能 おもな問題の解決過程で教職員の資質の向上をはかる
3 管理的な機能 事務処理上の諸問題を討議し,解決の方向づけをする

(5) 職員会議の内容

 職員会議の内容は,ほとんど校務に関する事項であり,校長の職務内容にかかわるものであるから決議するということは,校長の職務権限をおかすことになろう。校長は職務遂行のため,所属職員の意見を十分聞くことを目的に職員会議がもたれるべきであろう。したがって校長は,会議の動向に自動的に拘束されることはあろうが,他動的に強制されることはあり得ない。
また,児童・生徒を教育することは,教諭の職務であるから教育課程,教育内容などは,校長の職務権限外であるといった考え方は成りたたない。校長は,直接指導にたずさわらないということであって,指導方針をたて,教育計画をつくるのは校長の職務である。
 その内容を概括的にみると次のようになるだろう。

@ 校長としての教育目標・経営の方針や重点,または指示に関する事項
A 学校における教職員の教育活動についての情報,または連絡に関する事項
B 議題の具現化をとおしての研修に関する事項

 ここでいう研修は,学校運営の方針や重点の具現化,教育課程の編成や実施過程の審議をとおして専門性を高めること であり,積極的に研修議題をとりあげることを意図していない。
 職員会議の議題として,研修をどう扱っているかの状況は次のようである。

表25 職員会議と研修
(%)
事  項
小学校
中学校
高 校
1 研修を加味する
16
24
21
2 時に研修を加味する
68
58
66
3 加味しない
16
18

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(6) 運営組織と研修

 運営組織の機能上から研修のしめる役割は大きいので検討してみることにした。

@ 研修のねらいと性格
 研修ということばが使われるようになったのは,教育公務員特例法がだされた昭和24年以後のようである。同法による研修とは,「教育公務員は,その職責を遂行するために絶えず研究と修養に努めなければならない」ということになり,研修の施設,奨励,計画を樹立し,機会を与えなければならないとされている。

 一方教職については,「ILOユネスコの教師の地位に関する勧告」でも,専門職として認められており,その任に当たる者は,「きびしい不断の研究により維持される,専門的な知識・技能」を身につけた教員であるとされている。そうすれば教員は,研修の機会のいかんにかかわらずみずから研修することが,前提条件であるとも考えられよう。


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