研究紀要第13号 教授組織に関する研究 理論と実践編 - 019/019page
B 検証と考察
ア、教材研究
目標の細目標化をはかり,内容系列を十分吟味して,評価項目を対応させる教材構想のあり方は,授業に希望と期待がかけられ満足感を持つことができた。イ、基調案
教材研究が十分行なわれ,専門性が高められるとともに,教師の役割分担が明らかで,それぞれの段階で主体性な活動ができ充足感を味わうことができた。ウ、授業の実際
(ア) 学級集団の再編成により,児童と児童のふれあい,児童と教師のふれあいが広まり自己調整が高められた。
(イ) 学習指導のねらいが徹底し,段階的な確かめができ安定した授業であった。
(ウ) 異学年の集団編成で技能差が心配されたが,相互の協力が高まり,レベルアップがめだった。エ、児童の変容
(ア) 児童相互に協力しあう中で,自覚が高められ,努力を重ねるようになる。
(イ) 技能面で特に下位,中位のグループに向上が認められた。
(ウ) 児童・教師の信頼感と学習意識の高揚によると思われるが,授業に対する緊張感と開放感の区別がみられるようになる。C 研究の成果
ア、学校経営
協力教授組織による学年団を中核とした運営は,教職員相互の校務責任分担の理解が深まり,協力・分担が容易になり,かつ,教授組織と事務組織・運営組織が一元化され,内的秩序の体系化もはかることができたようである。イ、学習指導
合併授業等の学習指導により,教材内容等が精選され,独自のカリキュラムがつくられることになり,さらに適正な集団による授業は,学習における個別化・集団化と関連して,技能教科における個々の児童のレベルアヅプがみられている。
ウ、学級意識の改善
学級王国的・セクト的な意識がとりのぞかれ,協業の形態が強化されるようになる。エ、学年団構成と意識の変容
学年のわくをはずした異学年合併集団の活動は,交流範囲を広め,自己調整の基準・尺度を高めるとともに,人間関係がスムーズになり,生活態度にはりがみられるようになる。11.まとめ
この研究をはじめて5か年におよんでいる。理論研究にはじまり,学校組織のあるべき姿として,教授・学習組織,学習組織,事務組織,運営組織の機能と体系を想定し,本県の実態をふまえて,教授・学習活動の改善を実証的に積み重ねてきた。
その検証のため,福島市立吉井田小学校と安達町立下川崎小学校を実験学校に委嘱した。
吉井田小学校においては,全学年による体育の一部合併授業と,低学年における算数,中・高学年における理科の一部複数授業をとおして検証する。
下川崎小学校においては,全学年団による一部体育,音楽,図工の合併授業と,一部理科の複数授業をとおして検証する。
この紀要は,その一部を紹介するものであるが,多くの皆さまのご批判・ご指導を願いたい。最後に両校のご協力とご努力に感謝を申し上げる。
担当者 内 藤 善 次