研究紀要第15号 長欠児童・生徒 かん黙児童・生徒の治療的指導に関する研究 - 019/022page

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イ 教師の愛情ある接触が大切であるとする意見が圧倒的に多かったが,これについては異論はない。しかし,ただ単に愛情ある指導を行なうにとどまらず,相手の感情を汲みとれる,ノン・デレクティブ・カウンセリング的な技法をも加味して行くべきであろう。

ロ 家庭の雰囲気作り−治療的,許容的な学級雰囲気を作り上げることこそ,グループ・ダイナミックス的治療に外ならない。いかにしてよりよい学級集団を作り上げるかは,かん黙症の治療のみに効果があるばかりでなく,あらゆる教育相談の基本的な姿でもある。

ハ 事例研究・共通理解・研修会の開催・教育相談の実施等については,生徒指導の年間カリキュラムをたて,継続的・計画的に実施されなければならない。

ニ 特殊学級入級については,かん黙であることだけが原因で判別を受けることのないようにすべきである。

41.かん黙児童・生徒の効果的指導法−友人を使って (小学校)

県 北
県 中
県 南
会 津
南 会
相 双
いわき
 計
友人
よいグループづくり
10
7
 
9
 
4
5
35
好きな友人を選ばせる    
1
       
1

41-2 (中学生)

県 北
県 中
県 南
会 津
南 会
相 双
いわき
 計
友人
よいグループづくり
2
5
1
1
 
2
3
14
好きな友達との席ぐみ    
2
       
2

イ 好きな友達と席をくませてやる。仲のよい友達のグループに入れてのびのびとした生活を経験させてやることが,非常に効果的であるという意見が多かった。グルーピングの手法については,さらに一段の科学的研究がなされるべきであろう。

ロ 家庭の指導については,表に示されてないが,学校と家庭の緊密なる連絡が重要であるとする意見も多かった。家庭からでも学校からでも,互いに早期に連絡しあうことが大切である。

(4) かん黙児童・生徒に対して効果の少なかったこと

表42〜45は,かん黙児童生徒の指導で効果が少なかったという意見を表にまとめたもので,(3)の効果的指導法と関連的に読まれることを望む。

42.効果の少ない指導−本人に対して (小学校)

県 北
県 中
県 南
会 津
南 会
相 双
いわき
 計

注意・説論・しつ責    
1
3
1
1
1
7
質問・話の内容を慎重に    
1
 
3
3
 
7
不安定な立場に立たない
1
         
1
2

本人に対する注意・説諭などが非効果的であり,逆の結果を生むとする意見が多かった。さらに,質問のしかた,接しかたなども,あまりにも他と差があり過ぎる場合に,「私は他の人と違うのだ」という自意識の過剰を植えつけてしまうので,一考を要するとする意見もみられた。し


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