研究紀要第15号 長欠児童・生徒 かん黙児童・生徒の治療的指導に関する研究 - 021/022page
友人との力動的関係を利用して治療を進めることは,絶対に不可欠なことであるが,友達があれば安心であるとはいえない。友人の質,量,結びつき等の考察も大切である。
45.効果の少ない指導−家庭について (小学校)
県 北 県 中 県 南 会 津 南 会 相 双 いわき 計 家庭親の付添登校 1 1父兄の無理解の改善 1 2家庭の無理解などについては,長い時間をかけて指導する必要があろう。
U かん黙症の類型
自閉症・重度精薄・ろう唖・吃音・構音障害・失言症・痴呆症・児童期精神病・精神分裂病・思春期精神病・ヒステリー性かん黙などの障害によってもかん黙症状があらわれるが,一般には心因性かん黙(全面かん黙と選択かん黙に分けられる)と言われるかん黙症状が多く,われわれが教育相談的なアプローチをおこなうことができるのは,この心因性場面選択型のかん黙症である。
以下その型の分類を提示してみる。
V かん黙児童・生徒のとりあつかいについて
たしかに,かん黙症はおとなになればなおることが多く,ほとんどの人は必要にせまられて最少限必要な言葉,日常生活にこと欠かないだけの言葉を使うようになる。しかし,学校かん黙症で問題になるのは,ことばが少なく学習に障害が生ずることよりも,急速に社会性が養われる学齢期にかん黙が続き,社会性が身につかないことであろう。さらには,過度の緊張感が本人の特性として固着し,人間不信につながり,ますますかたくなな性格を増長させていくことの恐れであろう。
したがって,そのうちになおるだろうという希望的・楽観的観測のもとに,長期間適切なる指導も受けずにほうっておかれ,教育センターや児童相談所・病院などに連れてこられる時には,