研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 006/020page
いのは,かっそくのまさつを0にできないためと考えられる。
図−4ただし,上から下向きにかかる圧力を調べる場合,曲管の水をA点より管口の方向に押し出すことは,技術的に不可能なため,押し下げられた水面が,図−4のようになった場合を,測定値とした。
以上の実験から,水の中の同一水深での,上・下・左・右からかかる水の圧力の強さは等しいことが理解できる。3.授業への利用
この実験器具を使って探究的に学習をすすめると,およそ次のような学習過程が考えられる。
写真−5@ 水槽の,はかりをさし込む穴に細いガラス管のついたゴム栓をはめ,水位計で水位を保ちながら,上中下の水のとび方を観察させなぜこのようになるかを考えさせる。写真−5
○水の深さとの関係か。
○水の重さとの関係か。
○水が側面を押しているためか。
○水が深いほど押す力は大きいのだろうか。A 水が水槽の側面を押す力の大きさはどのくらいだろう。測定できるだろうか考える。
B 写真−1のはかりを提示して,力の大きさを測れるかどうか考えさせ,写真−2の実験をする。
C 同じ水深ならば,同じ力の大きさになるはずではないか。方法を考えさせ,同じ水深の側面に3個のはかりをつけて確かめる。
なぜ水の深さによって力の差がでるのか,考えさせ,水の重さということに着眼させる。D はかりの断面にかかる水の圧力の強さを計算する。………実験値と比較する。
水深をいろいろに変えて実験し,計算値と比較し,理論をわからせる。E 水の中ほどでは,水の圧力の強さはどうなるのだろうか。写真−4の器具の意味を考えさせてから実験をする。
水深をいろいろに変えて実験値をだし,理論値を計算して比較する。………結果を考察する。
およそ以上のような過程で学習させれぱ,少なくとも教師の一方的な計算学習から脱して,生徒は,問題を自分たちのものとして,興味深く理解を深められるだろう。