研究紀要第16号 学習指導改善に関する研究 理科実験 - 007/020page

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中 学 校 教 材

とつレンズによる実像の位置と大きさの指導

寺 島  八 郎

1.はじめに

 この学習の指導のねらいは,「実像の位置と大きさ」について,実験を通して,光の進み方を幾何光学的に考察させたり,像の位置や大きさに関する定量的関係や像の作図などについて,データの考察から規則性を発見させたり,データの処理・考察のさせ方を重点的に取り扱い,次の事項に留意する。

(1) とつレンズによる実像の位置と大きさの変化とその規則性を調べる。
(2) 実像の位置や大きさと物体の位置と大きさやとつレンズの焦点距離などとの関係を測定し,そのデータを処理考察して調べる。
(3) データにもとづいた図を書いて,作図の方法を見い出す。
(4) 実際に得られたデータ,データからのグラフや式などを常に,実際の現像と対応させて考察する。
(5) (1)や(3)で得られた規則性から,とつレンズによる種々の実像についての現象を予測したり,予測の結果を実際に確かめる。
などを実験で進めることが大切であると思う。

2.実験の計画

(1) 準備 

 光学装置一式(理振法備品),とつレンズ(f=10p〜15p),電球(100V-20W),ものさし(1m,30p),計算機,グラフ用紙

(2) 実験の方法

 @ レンズから物体までの距離がaのときのレンズから実像までの距離bを測定する。
  このとき,物体の長さcを一定にしておき,実像の長さdを測る。
    a:レンズから物体までの距離
    b:レンズから実像までの距離
    c:物体の大きさ
    d:実像の長さ
    f:レンズの焦点距離
    m:倍率
 A aはf以外から2f以内をとり,aを約5点ほど変え,それにともなって変化するbとdとを測定する。

 図1 実像の位置が決定される条件
図1

(3) データーの処理と考察からの留意点

 @ 「bとa」,「bとd」などのような対応関係で考えたり,a,b,d,fのひとまとまりの関係で考えたりすること。
 A 関係をより詳しく,または,定量的に調べるためにグラフ化をはかり,関係を探るためにグラフの変形をしたりすること。
 B 「bとa」のグラフからb(またはb−f)とのグラフを探究して比例する関係を求めること。
 C グラフからa,b,f,mなどの間の関係を読みとって文章や式に表わすこと,また,位置・大きさにa.bのほかにfとの関係を見いだすこと。
 D a,b,d,fの関係を示す式や像の作図などを求め得た規則性にもとづいて,とつレンズによる実像の位置や大きさを予測すること。

などが考えられるがその2・3について探究活動を重視しながら進めてみることにしよう。

3.実験データの処理と考察

(1) 測定値


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