研究紀要第18号 教授組織に関する考察 - 001/027page
T 研究の経過
この研究の第1年次は,基礎研究として,理論的研究にはじまり,教授組織を中心とした組織体としての学校経営のあり方を分析検討して改善の方向をきめるとともに,県下の各学校における組織機構ならびに教育活動の実態と問題点をとらえ,具体的な研究方向とその内容を明らかにした。その結果は「教授組織に関する研究」第1集として報告したとおりである。
第2年次ならびに第3年次においては、第1年次の研究を基盤として実際的に検証するため,福島市立吉井田小学校を実験学校に委嘱し,学校の実態から協力組織体制とその活動のあり方についてその方向づけを得ることにした。さらに関係機関や現場の要望に応じ,「小規模少人数学級校における教授組織のあり方」を究明するため,安達町立下川崎小学校を新たに実験学校に委嘱し検証をおこなった。その結果は,紀要によって報告したとおりである。
第4年次以降においては,吉井田小における、全学年による体育の一部合併授業と低学年における算数,中・高学年における理科の一部複数授業をとおし,また下川崎小学校においては,全学年団による一部体育・音楽の異学年合併授業と一部理科の複数授業などをとおして「協力体制での教授過程とその役割分担活動のあり方」の研究を一体となって継続し,今日にいたっている。なおこの間における研究結果は「実践編」「理論と実践編」として報告した。
1.研究の趣旨とねらい(紀要第13号)
(1) 研究の趣旨
現代社会における科学技術の高度化や情報の迅速化は,社会の機構をさまざまに変えている。こうした現象は必然的に学校教育にも反映し,教育内容,教育組織,教育方法・技術の抜本的な改善に迫られている。こうした現状から,組織体としての学校教育の原点にかえり,「目的のもとに成負相互のコミニケーションを有し,共同の責任と相互の役割をもつ統一体」としての機能を再検討することにより,その成果がひとりひとりの児童生徒によりよく成立するよう再吟味する必要があろう。
次にその具体事項をあげることにする。@ 学年(学年団)組織体制の強化により,学校経営の機能発揮をはかる。
A 弾力的な学級集団の再編成により,個別化・集団化をはかる。
B 協力体制での分業・協業により本質的な授業を展開する。
(2) 研究の視点
@ 単元指導計画の共同作成
A 教材,発達段階・経験に応じた単位集団の再編成
B 教師の特性を生かしたティーム・ワーク
(3) 研究のねらい
@ 「協力教授組織による教授過程とその役割分担活動」
ア.合併授業による,単元指導計画の共同作成と協力・分担授業の進め方
イ.複数授業による,個別化,集団化の単元指導計画の共同作成と協力・分担授業の進め方A 「小規模少人数学級校の教育活動における協力体制での役割分担とその活動」
ア.学年のわくをはずした児童集団の再編成による教授過程を確める。
イ.段階的な教授過程の中で教師の役割分担と,その活動のあり方を確める。