研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 001/106page
ま え が き
福島県教育センターでは,全県的な立場から学校および児童・生徒の学力をとらえ,学習指導に役立てることを目的として,「福島県診断標準学力検査問題」を作成し,それぞれの学校で活用いただいて今日に及んでいる。
この診断テストは,学習指導要領はもちろん,教科書および本県における従来の関係資料等の分析検討の上に,テスト問題の妥当性・信頼性を高める研究を基礎にして学習指導の改善充実のためにより適切な資料が得られるように問題の改訂を進めてきた。学校においては,単にテストを実施するだけでなぐ,その結果を科学的に究明する配慮が特に大切である。すなわち,このような考察によって,学校や学級および児童・生徒個人の全県的な位置づけによる学力の現状をとらえ,問題ごとの到達率および誤答の分析結果などにより問題点の対策を講ずるべきであろう。
当センターにおいては,すでに小学校および中学校の義務教育9か年の診断標準学力検査を終了し,小学校における報告書は,すでに活用ずみのところである。今回は,特に中学校の5教科(国語・社会・数学・理科・英語)の各学年の診断学力検査を実施し,その結果を領域別・問題別に分析して,学習指導における問題点を明らかにしたのがこの分析結果報告書である。これまでに,各教育事務所や市町村教育委員会はもちろん,該当の各学校には特にご協力をいただいた。
この分析結果に見られる比較的正答率の低い問題は,いわば,生徒の陥りやすい傾向とみられ,生徒の学習における思考上のパターンの問題点とも受けとられると共に,教師の指導上,特に見落せない観点とも考えられよう。したがって,この報告書は,各学校における関係資料とも併せて検討され,学習指導改善の資料として活用いただき,さらに,ご批判とご助言をいただければまことに幸いである。
なお,この報告書作成に至るまで,問題の企画・作成・審議・検討,及び執筆をいただいた関係各位に対しては,その労を多とし心から感謝するものである。
昭和51年3月
福島県教育センター所長 高 橋 幸 一