研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 007/106page

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あった。「後半」の「後」が91.8%の正答率であるのにひきかえ,ずい分低いようである。これは,さらに「前後」とか「午後」とかいうように「後」が熟字のあとについている場合や「その後」などの場合はどうなのか調べてみたいところである。

イ 【2】読む(語句)
 語句の意味の理解として,辞書的な意味,対語・反対語からの理解度,同類語・同義語からの理解度,慣用語句の意味,文中での語句の意味のとらえ方,語句の構成からの理解などをみることにした。ここでは同類語,同義語からの語句の意味の理解の度合を見る問題である【2】の四の1,2,3が,それぞれ44.9%,50.4%,37.7%と他にくらべてかなり低い。この問題は語句の的確な使い方を見るものである。この語句の正しい使用を指摘できることは,文を正しく読めることであるから,これが低いことは文・文章を読む力が低いことを示すものである。結果としては,概観で示したとおり文・文章を読む力は低い。

次に「文中で語句の意味をとらえる」問題【2】の五の2が42.3%であることに注目したい。
「読書にかんしんがうすい」の「関心」をいくつかの同音異義語の中からえらぶものであるが,これができないことは,やはり文の理解のきめ手をつかめないことを意味している。そういう点でも語句の意味と文意のつながりを指摘することができる。

ウ 【3】読む(文・文章)
 基準とする内容の中で正答率50%以下のものをあげると次のようになる。
○細かい点に注意して読む。
一の1,五の1
○段落,場面の相互関係がわかる。
三の1
○文・文章の続き方がわかる。
四の2
○要旨をつかむ。
二の3
○主語・述語がわかる。
九の2 九の3
・指示語のはたらきがわかる。
一の3
○副詞がわかる。
十の3
○助動詞がわかる。
十三の1 十三の4
 ひとつひとつの文を理解するための主述関係,指示語のは握が弱く,当然,文の続き,段落関係という文章構成をよみとれず,結局要旨はつかめないことになる。

エ 【4】書く(文字)
 漢字を書く問題の【4】の一の1から13までのほとんどが正答率50%をわっている。わずかに芸術の術,趣味の趣だけが50%をこえている。
 しかし,「形の似ている漢字を書きわける」と「同音同訓の漢字を書きわける」では,かなり高い正答率である。この問題が同音漢字,同訓漢字の書きわけということで,同じ読みの漢字をいくつかそろえるためにやさしい漢字をおかざるを得なかったためであろう。

オ 【5】書く(語句)
 これは正答率についてみるとき,ほぼ高く,とくに記すべきことはない。三の2,3が50%以下であるが,これは敬語の問題で方言生活の中の中学生にとってはむずかしかったのであろうか。しかし,二ができているところをみると知識として理念的にはわかっているらしい。ただ,実際に使用していないために三のような実際の待遇場面での使いわけの判断になると,まよってしまうのであろう。

カ 【6】書く(文・文章)
 読む力とうらはらで,主・述の照応を正しく書く,指示語の使用,修飾・被修飾の関係を正しく書くのが低い正答率となっている。また,文の推考についてもよくない。これも推考のポイントは指示語,主・述関係,修飾・被修飾関係におかれるからであるといえる。
この読む,書くの相関はさらに分析研究される必要があろう。


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