研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 040/106page
観点 ねらい 問題番号 正答率 小問 大問 観点社会保障について
5
75.0人権尊重の発展について
6 (1) (2) (3) (4)
57.8 67.4 43.0 42.8 52.8(2) 結果の考察
(1) 歴史的分野の概要
@ 知識・理解(正答率52.2%)
第一次世界大戦からの史実の理解は比較的良好であった。ただ,史実そのものの内容の具体的は握,ある時期の国内情勢を政治経済文化という多方面から総合的に理解するという点では難点がみられる。とくに第一次世界大戦後から第二次世界大戦にいたる国内の動きについては史実が多く出ている関係もあるが,年表を活用しながら原因−結果−原因の循環をよくおさえて,相互関連を追求する学習が大切である。
ワシントン会議の内容,世界恐慌の影響をうけた時期,日本の国際連合加盟の時期などで誤答が多くみられるのは,史実を年代のみで機械的に記憶する傾向の欠陥ではないだろうか。
A 資料活用の能力(正答率61.2%)
三つの観点のうちで正答率が最も良い。統計資料・歴史地図等の活用がじゅうぶんになされているものと考えられる。ただ,史料の読みとりに関しては,単に国語的な解釈でなく,その時代の様子を明らかにして,なぜこのような布告がなされたのか,そのことによって,どんな結果がもたらされ,どんな問題が残されたのか,という深め方が望まれる。
B 社会的思考・判断(正答率45.6%)
個々の史実ではなく,柑互に関係しあいながら歴史が動いていく様子をは握する面で難点がみられるのは@と同様である。
日本と中国との関係で第二次世界大戦にいたる経過を総合的に考察したり,民主政治の発展とそれを阻害する要因を相関的に思考し,判断をする等の学習が更に要請される。
(2) 公民的分野の概要
問題別の正答率からみると,それぞれの正答率が50%に達しない大問がいくつかみられた。
中でも「わが国の輸出入の特色(38.0)」「商品流通のしくみ(37.4)」「経済の国際的比較(42.9)」「地方財政(45%)」などの設問にその傾向があった。さらに観点別に考察すると,「知識・理解」では,家庭生活・社会生活の領域に,常識的・断片的知識で答え得るものが多いため高い正答率を示している。反面,政治・経済生活,ことに経済のしくみについては基本的な原則が混同されたり,労働条件の改善の動きや財政の役割りなどについて,動態的なは握に欠けているため,正答率は低くなっている。政治・経済機構図については図解の重点を考えて,それを読みとることが大切である。
「資料活用の能力」では,種々のグラフのよみとりが十分でなく,各観点を平均すれば,もっとも低いことがわかる。経済生活においては統計の活用なくして学習を有効に進めることはできない。教科書にある資料は十分活用し,また統計数値を構造的,分析的に扱うことによって,その示す数値の真の姿を知ることができよう。
「社会的、思考・判断」では,グラフや表から総合的に考察する力に欠け,経済現象の原因や対策,民主主義の基盤ともいうべき地方自治への関心に問題が見られた。
解答のしかたについても,組み合せで答える問題は正答率30%台と低くなっている。また,設問の意にそわない誤答があったりし,社会科の基本用語の取り扱い方に指導上,十分留意する必要がある。
(3) 歴史的分野の問題点の診断
@ 知識・理解
ア 2