研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 041/106page

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  ロシア革命の説明について,ウと誤答しているものが約半数。第一次世界大戦後とあやまって理解しているのは,学習の順序がそうなっているためか。第一次世界大戦の性格や戦後の講和会議の内容との関係でソビエト政府の樹立を確実に理解させておきたい。

イ 3の(3)(4)
 ワシントン会議はアメリカ合衆国のよびかけで1921年末から翌年にかけて開かれたものであるが単に軍縮会議としてだけ理解している傾向がある。誤答の大部分がウのロンドン会議と混同していることからも,(4)の問題でも,第二次世界大戦後のようすと混同したアの誤答,戦争の後だからエの不戦条約と単純に答えてしまう傾向がみられるのも,第一次世界大戦前後の歴史地図の比較対照などもりこんだ学習がもっとも必要であることを物語っている。

ウ 4の(2)
 第一次世界大戦後の日本経済の動向,社会の動きが総合的には握されていないと正しく答えられない問題である。

エ 5のA・B
 1920年〜1930年の約10年間の国内の動きを問う問題であるが,29%と小問中最も悪い結果である。誤答傾向としてはA群がウ,エ,B群がウと1930年代以降の情勢を答えている。前項で述べたように,戦後の事情を多面的には握することの難点があらわれているように見られる。年表作成とか、自分たちで資料収集して具体的に史実の因果関係を追求する等の学習が必要ではないかと考えられる。

オ 6の(4)
 第二次世界大戦後の主な事項については基本的なことはよく理解されている。国際連合に加盟した時期を大部分が〔D〕と誤答しているのは,平和条約調印→国際社会への完全復帰という理解があるためではないか。1951年の対日講和会議については,前年の朝鮮戦争など東西対立のさ中に開かれている事情を明らかにしておくことが大切であろう。正答率20.7%というこの小問が最低である。

A 資料活用の能力
ア 1の(3)
統計資料の読みとりについては,3年生が最も良い結果を示している。グラフや表などを読む際に年代を見て,その時代を想定したり,表示されている数字を正しく読む力は育成されているといえよう。(3)の問題が57.7%と他の小問に比してよくないのは,資料2の帯グラフをよくみないで「農地改革」という用語から単に概念的におぼえていることを答えたという傾向がみられる。誤答の大半がアと答えている点から,農地改革を耕作農民の立易から歴史的意味を考察することが弱いようである。また,すべて自作農になり,という表現も帯グラフからは判断できないのに,これを正答としているのは,設問の中で示されている資料による判断をしていないことを示している。

イ 2の(1)(3)
 (2)のポツダム宣言は70%の正答を示しているのに(1)・(3)がともに3分の1程度である。@の史料が治安維持法と判断できれば,アの解答は出るところであるが,誤答例がイとウに集中している。イと答えた者は,史料を読まず,設問にある「1925年に制定された法律」という表現から,普通選挙法→イ と答えているものと思われる。

 また,史料文中「私有財産の否認」という用語のみに注目して,史料を読まない者がエと誤答していると考えられる。
 ポツダム宣言にもとづいて日本の民主化政策が進められていったが(3)ではカは正しく答えているが,イやオの誤答が多く,二つ正しく答えた者が33%と低い。これは、日本国憲法の制定をイと誤って読みとったためではないかと考えられる。

 全体として資料を正しく読み,その内容を解釈して判断する態度はできているが,まだ,設問の意図をあやまってとらえて,的確な判断をしない傾向がみられる点は,今後の課題である。

ウ 3の(1)
 64%の正答率であるが,無答が多くみられた点で,歴史地図をもっとたんねんに見る習慣がほしい。とくに欧米諸国のアジア進出以降,これに類した地図は各所に提示されており,植民地にされた地域や旧支配国との関係は,もっと明確にしておかなければならないと、思われる。

B 社会的想考・判断
ア 1の(1)(2)
 五・一五事件の意義を問う問題は正答率が48.7%とやや低い。ア(治安維持法)やウ(護憲運動)


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