研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 058/106page

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=(a+b)(a−b)を用いることができないというよりは整式の因数分解の意味が理解されていないためと考えるのが妥当であろう。
 したがって,指導に際しては意味理解の上の計算練習がたいせつであるといえよう。

問題9
 ねらいは,数学的考え方の中の論証の理解の程度をみることであるが,これの解答は正答か無答のいずれかにわかれる。
 このことは,論埋を進めていく方法や考え方の理解が生徒の思考操作の発達と密接に関連していることを意味するものであろう。
したがって,文章表現,論理形式などを生徒の実態にあうように工夫して指導する必要があろう。

問題11
 このねらいは,解の公式を用いて二次方程式を解く技能の習熟の程度をみることである。
 誤答のおもなものは,,(x−2)2=5より,意味のわからない計算などで無答が少い。
 これは,基本的な計算過程の意味が理解されていないことや計算に対する注意力の不足などが原因と考えられる。
 したがって,生徒自身で自分の誤りの傾向を発見し,それをなおせるように計算を整理しながら進めさせるなどの配慮をして指導すべきであると考える。

問題12
 ねらいは,二次方程式の解を知って,その方程式の係数の値を求める知識の程度をみることであるが,解答の大部分は連立方程式を立て係数の値を求めている。
 i.e.(x−2)(x−3)=0よりa=1,b=−6と求めた解答は少なかった。
 誤答のおもなものは,連立方程式を立てようとして誤ったものである。
 したがって,解についての知識のあいまいさと同時に知識の活用についての指導上の欠点が目立つ。
 柔軟な思考を育てる指導とはどんな指導なのか考えてみる必要があろう。

問題13
 これの(1)は,数学的な考えの程度をみることをねらいとしている。
 i.e.分析・総合により問題構造を正しくとらえ式表現できるかどうかということである。
 この誤答は,
(x+2)(x+5)−x2=18や無答である。
 したがって,無答は問題場面の理解が困難なためで,他は不注意による誤りであるといえよう。
 そこで,問題場面のとらえ方の指導は具体的操作の段階と形式的操作の段階でのとらえ方を理解させ,形式的操作へ移行させることをねらって行うのがよいといえる。

【2】 関数
問題2
 ねらいは,y=x2のグラフの特徴を用いて,与えられた変域に対する値域を求めるという数学的考え方(的確かつ能率的に活用する能力)の程度をみることである。
 この誤答のおもなものは,
0≦y≦9,9≦y≦16であるから、対応する変数の意味とグラフの特徴の理解が一体化していないための誤りと考えられる。
 したがって,指導に際しては,概念と原理・法則が一体となって活用されるように留意することがたいせつである。

問3の(2)
 これは,y=ax2のグラフが点(1,4)を通ることから,二次関数を定め,それからx=3に対応するグラフ上の点を求める技能の程度をみることをねらったものである。
 誤答の傾向は,y=axとして解答したものやy=4aとして解答したものが多いことから,不注意による誤りといえる。
 したがって,,思考過程を検討させるなどして,生徒が注意深く思考し,処埋することができるように指導することが必要である。

【3】 数・式
問題1,2,3
ねらいは,二元一次不等式についての知識・理解,技能,数学的考え方の程度をみることであるが,誤答の傾向は問題1の(2)を正答し,問題1の(3)を誤答したものの大部分が問題2,3を誤答していることである。
これは,二元一次不等式と一元一次不等式の違いについて,よく理解されていないためと考えら


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