研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 053/060page
本研究においては,さらに前記研究を進展させ,女子教員による教育は,児童・生徒の学カ−特に算数の学カ−にどのような影響をあたえるか,また,男女教員の性差が学校現場においてどのような問題を引き起こしているかを調査したうえで,分析と考察を加えてみた。
前述の目的は,世間一般に流布されている女子教員に算数や理科を習うと学力が低下するという通説は,はたして本当に正しいものなのか。もしその主張が正当であれば,いかなる理由によるものなのか。さらには,それらの改善はいかになされるべきかを追究すべく設定されたものである。
(1) 調査の方法
A 調査対象 @………算数学力のちがいについての調査は,福島市・郡山市・田村郡下の小学校6年生610名を対象とした。
A………男女教員の性差が学校現場でどのような問題を引き起しているかについての調査は,県教育センターにおいて各種の講座を受講した小・中学校の教員258名を対象とした。
B 調査期目……………算数学力に関する調査は昭和50年3月中旬,教員対象の調査は昭和50年5月に実施した。
C 調査の方法…………調査はいずれも質問紙法とし,算数学力のちがいに関する調査は,小学校6年間を通して,女子教員によって何年間担任されたかをチェック・アウトさせ,併列されたらんに福島県教育センター発行の標準学力診断テストの得点を,偏差値で記入させた。(教師による記入)なお,男女教員の性差と学校現場での問題に関する調査は,無記名方式とし,@記入者の性別 A記入者の年代 B教師の性差が児童・生徒の性格,学力等に影響をあたえるかどうか(回答項目5)C影響があるとすればどの面か(回答項目3)D学校運営上教師の性差の違いがどのような問題を生み出しているかEそれらの問題の解決法としてはどのようなことが考えられるか,について質問をおこない,回答をえた。
(2) 調査の結果と分析
1.算数学力の差異について
表Tは,小学校6年間に女子教員によって担任された年数と,それらの児童の算数の得点の平均を図表にしたものである。