研究紀要28号 両親および教師からみた現代の小学生像 - 007/023page
父母の意見では,今のままでよいとする者が最も多く73パーセントに達しているが,この割合は学年が進むにつれて漸次減少し,6年時にやや上昇復元の傾向が認められる。これに反し,もっと多くの宿題をと望む父母は,学年が進むにつれて増加の傾向を示している。また"もっと少なく"と"ない方がよい"とするもの,すなわち宿題制度の減少および廃止の意見の合計の数は,学年が進むにつれて,わずかずつではあるが増加していることも見逃せないことである。
なお,これらの傾向の背景をなしている父兄の考え方は次のようなものである。まず宿題は今のままでよいとする考えの裏付けとしては,(イ)担任の先生が子供たちの能力をよく考えて,量・内容共に適切に出題されているので,(ロ)各教科の進度に合わせて出題しているからなどが,ほとんどであった。
もっと多くを望む意見としては,(ハ)無いとまったく学習しない。(ニ)家庭学習の習慣を養いたい。(ホ)母親が学習をみてやるのに都合がよい。
(ヘ)無いと不安,などが大方の意見であった。もっと少ない方が良い,無い方がよい,に対する意見は,(ト)学習よりもっと別な面−体育とか情操教育に力を入れたいから,(チ)友達と共に遊ぶ時間が無く望ましいパーソナリティの発達が阻害される,(リ)習い物,塾に行く時間がなくなる等が,代表的なものであった。
(4) 家庭学習について
図9からわかるように,家庭学習の際両親のとる態度は,聞かれた時にのみ教えるとする者が半数であり,次いでできないところだけをみてやる者が33パーセント強である。なお,よく勉強をみてやる。ほとんどみてやらないは,同率に近く,まったくみてやらない態度をとる者も,きわめて低率ではあるが多少認められた。(1.28パーセント)