研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 084/118page

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教材および指導資料の研究

実験教材としてのヒヨコの活用

― タンバク質の消化・吸収とアミノ酸の検出について ―

1.はじめに

 動物が生きていくためには,食物を体内にとり入れることが必要である。つまり,腸壁から吸収できるようにしなければならない。
 このためには,食物となる高分子の有機化合物を低分子の有機化合物に分解しなければならない。つまり,多糖類(デンプンなど)は単糖類(ブドウ糖など)に,タンパク質はいろいろなアミノ酸に,脂肪は脂肪酸とグリセリンとに分解しなければならない。
 このように,食物を腸壁から吸収しやすい形にするためのはたらきが消化で,それには酵素が重要な役割をしている。
 このような消化と吸収に関連する項目を学習指導要領から拾い出してみると下記のようになっている。

小学校第6学年,A 生物とその環境

(3).人体は一定の体温を保ち,成長や運動をするのに食物として取り入れた物を使っていることを理解させる。

ア.食物は,そしゃくされたり,酵素のはたらきを受けたりして,吸収されやすい物に変えられること。


中学校  第2分野

(5).動物の物質交代

イ.消化器のつくりとはたらき
(ア) 動物は,栄養分を食物として取り入れ,消化し吸収をしていること。
(イ) 消化には,酵素が重要なはたらきをもちそのはたらきは温度などの条件によって変わること。


高等学校   生物T

(1).物質交代とエネルギー交代

イ.生物体内の化学反応と酵素
生体内の化学反応の特性,酵素とその作用

 これらの内容をふまえ,生物の学習では,できるかぎり生きた動物を取り扱うことが必要であることを考慮して,その動物が季節に関係なく入手でき,安価で飼育しやすい雌雄鑑定済みの雄のヒヨコを実験教材として活用したいと思うのです。
 ヒヨコを実験教材として,デンプンの消化と吸収に関しては,すでにその実験方法など報告してあるので,今回は主にタンパク質の消化と吸収を中心に,寒天平板法による酵素の実験法や,電気泳動法によるアミノ酸の検出,小腸壁によるアミノ酸の透過などの実験を試みたので紹介したい。

2.ヒヨコの消化器官のつくりとその内容物を調べる実験

(1) ねらい

○ ヒヨコを解剖して,消化器官のつくりを観察しその内容物のようすとpH,ビューレット反応によるタンパク質の有無を調べる。

(2) 準備(材料・器具・薬品)

○ ヒヨコ,解剖用具,シャーレ,試験管,麻酔びん,脱脂綿,電動式遠心分離機,駒込ピペット
○ ビューレット試薬(10%NaOH,1%CuSO4)リンガー液(蒸留水1,NaCl8.5g,KCl0.2g,CaCl20.2g,NaHCO30.02g) 万能pH試験紙(東洋ろ紙k.k.)エチルエーテル

(3) 方 法

@ 麻酔のしかた ヒヨコを麻酔びんに入れ,ごく少量のエチルエーテルを脱脂綿に浸みこませたものをびんに入れて密閉し,5〜10分後呼吸


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